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ザ・ロックの10ku0のネタバレレビュー・内容・結末

ザ・ロック(1996年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

以前レビュー済みだったが、加筆及び修正の為、再度レビュー。

マイケル・ベイ監督作品の中では、一番の名作だと私は思う。

ジェリー・ブラッカイマー製作×マイケル・ベイ監督のコンビでは『アルマゲドン』が有名で

ブラッカイマーなら一般的には『パイレーツ・オブ・カリビアン』

ベイなら今でこそ『トランスフォーマー』シリーズが挙げられると思うが、本作の方が魅力は凌駕している気がする。

そして、個人的にはここ数年のアクション映画よりも、公開から20年以上経った本作の方が圧倒的なパワーがあるのではないかと思っている。


『発明を呪いたく程の恐ろしい兵器』という、ニコラス・ケイジ演じるスタンリー・グッドスピードの一言に、テロリストが強奪した化学兵器の恐ろしさを垣間見る。

冒頭の強奪シーンでも、誤ってロケットを落とした為に1人が犠牲になるその視覚的ビジュアルだけでも恐ろしさは伝わるが、何よりも上記のグッドスピードの言葉が一番効く。

化学兵器の怖さと、グッドスピードの知識と腕は郵便物で送りつけられた爆弾の解除シーンでまず手始めに印象付けられるが、あれだけでも緊迫してお腹一杯。
解毒剤を大きい注射によって心臓に突き刺して注入するなどという正気とは思えない方法だが、これを後にアルカトラズ島での終盤にグッドスピード自ら行うシーンが強烈。


マイケルベイお得意の、高級車を贅沢に使った激しいカーチェイスは本作から既にすさまじい。
坂道の多いサンフランシスコ内で展開するハマーとフェラーリ。

『サンフランシスコ名物のケーブルカーだよー』
と思ったら、カーチェイスに巻き込まれた挙句に爆発で天高く舞い上がるケーブルカーとそれに激怒するおじさんが個人的に好きなシーンの一つ。

アルカトラズに潜入し、ノンストップであれよあれよと展開して、休む間がない。

マイケル・ビーン演じるSEALDSのアンダーソン中佐によるハメル准将への説得が行われたシャワー室で、あっという間にメイソンとグッドスピード以外全滅するが、あの一連のくだりはグッと来る。

残された2人だけで、ロケットを解除し一味を一掃せざるを得なくなるのだから、その後の展開には期待が高まる。
1人はジェームズボンド(このキャラ設定はコネリーからのアイデアらしい)ばりに伝説の男メイソンで頼れる存在だが
もう1人は高いLPを買うほどのビートルズマニアで化学スペシャリストだが、銃の扱いも実戦経験もないグッドスピード。
家では自分の子を身ごもった愛する恋人が待っている。

エド・ハリス演じる、首謀者ハメル准将も敵ながら男の中の男。
オープニングで見せる、降りしきる雨の中亡き妻の墓前で語り、固める決意のその姿からして熱い。
決して許せる行為ではないし、集めた仲間の見立ては悪かったが、起こした理由も自分本位で自己利益を考えたものではなく、そもそもロケットをサンフランシスコに本当に撃つつもりもなかった。
それがまた泣かせ、どこか気持ちを同調させてしまう。

心に残る熱い名言も多く、リスペクトしてみたくなるがなかなか使えるようなシチュエーションはないものである。

クライマックスの見せ方もくどいくらいにかっこ良すぎる。
作戦終了の合図を知らせるべく、ギリギリどころかニアミスだったが、発煙筒を炊くグッドスピードの姿はしびれまくり。

去っていくメイソンと、それを見逃しウォーマックに嘘をつくグッドスピード。
彼等2人の中に熱い絆を見た。

アクション好きなのに、まだ観てない人なんて人がいたら絶対おさえて欲しい作品。

そして、本作はブラッカイマーとずっとコンビを組んでプロデュースしていたドン・シンプソンの遺作である。

VHS発売後も迷わず購入し、テープが擦り切れるくらい鑑賞。
後にDVD、Blu-rayでも買い直し何度観たことか知れない。

高校時代に映画館で観た作品の中ではダントツ一位である。
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