そーた

ザ・ロックのそーたのレビュー・感想・評価

ザ・ロック(1996年製作の映画)
4.0
うな重

若い時分、映画のエンターテイメント性にとことん魅了されてしまった時期がありました。

そのきっかけとなった作品がこれ。

アルカトラズを乗っ取った元海兵隊准将率いる武装集団に対して、元イギリス諜報員とFBIの化学スペシャリストが立ち向かっていくストーリー。

質の高いアクションに魅力的なキャラクター、引き込まれるストーリーとどこをとっても一級品。

冒頭のサンフランシスコ市街でのカーチェイスは圧巻。

ただのカーチェイスで一般人に迷惑かけ過ぎでしょ!
とにかく色んなものを破壊してやりたい放題。
特に路面電車のくだりが最高でした。

冒頭からこんな調子のスタミナ抜群なこの映画。
食べ物で例えるならばうな重だと思います。

脂の乗ったウナギの身のようにこてこてのアクション。
そこに、味のある俳優達がタレのように絡みます。

ニコラス・ケイジ演じるFBI捜査官。
結構なナヨナヨキャラで、
化学スペシャリストだから銃は訓練でしか撃ったことがないの。

でも化学兵器解体の任を果たすためアルカトラズ潜入作戦に同行しなきゃならなくて。
その嫌々な感じがおもしろい。

ちょっとぶっ飛んでるところはニコラス・ケイジ節。

この化学オタクと最高な掛け合いをするのがショーン・コネリー演じる元諜報員。

とにかくカッコいいんです。
こんなおじいさんになりたいもんです。
うん?元イギリス諜報員?
ま、まさか····
色々と想像を膨らませてしまうキャラクター。

彼はかつてアルカトラズから脱獄したことがあって、残る刑期の抹消と引き換えに作戦に加わるわけ。

どうにか安全に帰還したいと願うナヨナヨ捜査官と、
どうにかして逃げようと企む元諜報員が一緒にテロリストに立ち向かうという構図がアンバランスで斬新。

でも次第に二人の利害が一致していき、信頼関係が築かれていく様は胸が熱くなります。

アクションなしで二人の関係だけ見ていても面白い。
タレがかかったご飯だけでいけちゃう感じです。

そしてそして、悪役の元准将を演じるエド・ハリス。
渋みの効いた演技でピリリと映画を引き締めます。

この人は山椒の役割なんだなぁ。

テロを起こすための大義名分。
同情を禁じ得ない彼の不器用な武骨さはこの映画に無くてはならない要素でした。

またね、全編を通してハンス・ジマーの音楽が僕らの気分を煽るんです。

そんな音楽の効果もあってか、クライマックスシーンではあたかも自分が発煙筒を振り上げているかのように手に力が入ってしまう。

とにかくテンションが上がりっぱなしのこの映画。

ウナギを食べて精をつける。
土用の丑の日は『ザ・ロック』を観るでもいいんじゃないの?

そんなことを思ってしまいました。
そーた

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