ぶみ

クリムゾン・リバー2 黙示録の天使たちのぶみのレビュー・感想・評価

3.0
再び蘇る謎と恐怖。

オリヴィエ・ダアン監督、ジャン・レノ、ブノワ・マジメル主演によるフランス製作のミステリで、マチュー・カソヴィッツ監督、2000年公開『クリムゾン・リバー』の続編。
同時期に起きた二つの事件を追う刑事の姿を描く。
前作は鑑賞済み。
主人公となるベテラン刑事・ニーマンスを前作同様レノ、本作でニーマンスの相棒となる若手刑事・レダをマジメルが演じているほか、カミーユ・ナッタ、クリストファー・リー等が登場。
物語は、ロレーヌ地方にある修道院で起きた壁に死体が埋め込まれている事件を捜査するニーマンスと、麻薬犯罪を捜査中にイエス・キリストとそっくりの男に出くわしたレダという、一見関係ないそれぞれの事件を捜査する二人が中心となる展開は前作同様。
ただ、前作が原作となる小説があったのに対し、本作品は、極端な話ニーマンスという主人公が共通なだけのオリジナル脚本のようで、その脚本を書いたのが、何を隠そうフランスを代表する映画監督、脚本家であるリュック・ベッソン。
そのため、前作が本格的なミステリの様相を呈していたのに対し、本作品は、キリストと12使徒をなぞらえており、ダン・ブラウンの小説を映像化した『天使と悪魔』や『ダ・ヴィンチ・コード』といった宗教ミステリ的な雰囲気が醸し出されているものの、あまりサスペンス色は強くなく、アクションがふんだんに取り入れられているのは、ベッソンらしさと言えるもの。
とりわけ、中盤にある暗殺者をレダが追うシーンは、家から家へと飛び移るパルクール・アクションとなっており、ちょうどパルクールが一般的に認知され出した時期と符合するのだが、今となっては、古臭さすら感じるのは、これもまた時代の流れか。
クルマ好きの視点からすると、レノ演じるニーマンスの乗るクルマが、ボルボとしては珍しい2ドアクーペであり、公開当時でも20年以上経過しているであろうボルボ・262Cであったのは見逃せないポイントで、フランス作品らしいお洒落感を醸し出すにはピッタリ。
修道院での不可解な事件と麻薬捜査という二つの事件が徐々に繋がっていく面白さは、一定程度担保されているものの、終盤はミステリではなく、『インディ・ジョーンズ』シリーズかのようなアクション・アドベンチャーとなっているとともに、もはやタイトルである「真紅の川」の意味を失っていたのではないかと思う一作。

最後の審判の日は近い。
ぶみ

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