Jimmy

「女の小箱」より 夫が見たのJimmyのレビュー・感想・評価

3.5
2013年2月1日に新文芸坐で鑑賞。

情けない夫(川崎敬三)の妻(若尾文子)に対する復縁懇願に対して、若尾文子の「や~よ、女だから、や~よ」のセリフは良かった。隠れた名セリフか。

この作品は、増村監督の凄まじい勢いで話が展開するカラー作品。
なんと、この作品、冒頭から若尾文子の入浴場面から始まる。カラー作品なので美しい。もちろん、体だけ映る裸の場面は、他の差し替えの女性が演じているはずだが。

株を買い占めて会社を乗っ取ろうとする若造=田宮二郎、会社人間の夫を持ったばっかりに毎晩一人で過ごす人妻=若尾文子、の二人がそれぞれ描かれるが、この二人がバーで出会って田宮二郎が若尾文子を車で送っていく。
そのとき、車の音楽を付けて流れてきた音楽について田宮二郎が「ベートーベンですね。大好きだな、この意志と力が」と言うあたりは、田宮二郎の仕事での剛腕ぶりを暗示しているかのように感じた。

その後、若尾文子の夫=川崎敬三が会社を守るために田宮二郎に株買い占めさせない作戦、田宮二郎は株買い占めのために愛人=岸田今日子など利用して作戦を進める対決となる。
そこでキーマン(キーウーマン?)となるのが若尾文子。
両方のつなぎ役になるが、結局、「自分の夢を実現させることよりも、女としての自分(=若尾文子)を選んでくれた田宮二郎」を若尾文子は愛することになる。
ただ、それで終わらないのが増村監督。

人間のドロドロした愛憎を描かせたら天下一品の増村監督とその演出に見事応えた若尾文子の演技は素晴らしい。
Jimmy

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