少年の中で自覚する有害な男性性。男子内によくある悪ふざけから女性に対する性加害までの距離が遠くないことを、セザールは感じ取る。
男子はフェンシングを教わってもダンスを知らない。騎士道のマスクに違和感を覚えたセザールは、パートナーの身体と調和する自由さを目にして、優劣や勝敗を誇示する場所の愚かさを知る。
子どもに事件の事実を告げることにちょっと驚くが、子ども自身の感覚が敏感だ。自分も同じものを持っている不安、理解したくてもまだ言葉にできない隔たり、それでも目を向ける優しさ。猫、お姉ちゃんが繋いだ手、破壊された車。大人は教えてくれないかもしれないけど、目を見て話を聞こうとするあの先生は一つのロールモデルになりそう。
今年の短編の中で一番良かった。