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恐山の女の一のレビュー・感想・評価

恐山の女(1965年製作の映画)
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暗澹とした気分になる典型的な廓モノで、冒頭で主人公・吉村実子の死は示されるので、粛々と因果な悲劇が進んでいくだけなのだが、川崎敬三が思わぬ形で退場するあたりからその不条理性が現実離れしてきて、ラスト10分で展開するのはエクソシズムであった。そういえば恐山の映画だった。悪霊祓いの行者・東野英治郎の投げっぱなしな演技がまた強烈。「抜けていく…抜けていく…」と恍惚の表情で気絶する吉村、「大丈夫じゃ、大丈夫じゃ」とやべーってかんじで早足に去っていく東野の後ろ姿、なにが起きているんだろう。嬉しくなっちゃうな。
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