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「太陽」を売った少女の一のレビュー・感想・評価

「太陽」を売った少女(1999年製作の映画)
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子ども映画の、そして歩行映画の傑作だった。セネガルのヌーヴェルヴァーグ映画『トゥキ・ブキ』のジブリル・ディオップ・マンベティ監督が90年代の終わりに撮った中篇で、これが遺作。貧困、身体障がい、あるいは子ども・女性であることによって社会で周縁化されている少女を主人公に据えた素朴で美しい物語だ。松葉杖を突きながら街を生き生きと歩き、ときに警察官にも盾をつく彼女の振る舞いに、そして自身が一身に背負うそのハンディを、貧しいストリート・キッズ、盲目の祖母、足を失くしたラジカセ青年、無実の罪で収監された女性といった他者への連帯に転化させていくその姿にディオップは未来を託している。松葉杖をつきながらのちょっとしたダンスシーン素晴らしかった。

併映:デボラ・ストラットマン『最後に残るもの(The Last Thing)』(2023)
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