一さんの映画レビュー・感想・評価

一

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喜劇 男の子守唄(1972年製作の映画)

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チンドン屋フランキーと、かつて戦災孤児であった自分を拾って育ててくれた売春婦お竜の息子・太郎、隣人の三流ホステス倍賞美律子がロールプレイするニセ家族。『喜劇 命のお値段』や後年の『喜劇 家族同盟』でも>>続きを読む

喜劇 昨日の敵は今日も敵(1971年製作の映画)

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なべおさみと堺正章がいつものように全くノレないお笑いをやっている序盤は范文雀の空手シーン以外正直しんどかったが、彼らがアルバイトする箱根のホテルに平田昭彦たちが現れてから一気に面白くなる。箱根独立共和>>続きを読む

喜劇 右むけェ左!(1970年製作の映画)

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無節操な東宝ナベプロ映画ではあるけども、戦中派の軍隊ノスタルジーを落ちこぼれサラリーマンの自衛隊体験入隊によって呼び起こさせるアイデアは面白い。犬塚弘演じる元軍人の窓際課長が、軍の闇資金の存在を知って>>続きを読む

濡れた逢びき(1967年製作の映画)

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撮る人が撮ったらドライで気の効いたブラック・コメディになりそうなもんだけど、そこは喜劇監督・前田陽一なので終盤の毒薬盛り盛りサスペンスもイタズラっぽいヌルいノリに。それはそれで構わないし、そのシーンに>>続きを読む

ちんころ海女っこ(1965年製作の映画)

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オール八丈島ロケの離島暮らしアピール映画になるのかと思ったら、観光開発やら夜這い文化やらを巡る欲負け離島民たちの雑でゲスいコメディに。石堂淑朗と前田陽一のつまらない悪ふざけは、まるで脈絡のない『東京オ>>続きを読む

おんな番外地 鎖の牝犬(1965年製作の映画)

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夜の青春シリーズを転倒させたような辰っちゃん殺しの懲役8年緑魔子に加えて、顔に大きな痣+びっこ+レズビアンとスティグマ化甚だしい原知佐子が凄みを感じさせる女刑務所モノで、その他塀の中の懲りない面々も楽>>続きを読む

「太陽」を売った少女(1999年製作の映画)

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子ども映画の、そして歩行映画の傑作だった。セネガルのヌーヴェルヴァーグ映画『トゥキ・ブキ』のジブリル・ディオップ・マンベティ監督が90年代の終わりに撮った中篇で、これが遺作。貧困、身体障がい、あるいは>>続きを読む

狂った触覚/激愛!ロリータ密猟(1985年製作の映画)

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成人の日の新宿アルタ前で裸身を露にする伊藤清美の凛々しさに佐藤寿保はカメラの後ろで涙を流したという…。

オランダ人の写真(1976年製作の映画)

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『Far from the explosive form of fruit』(1972)
『ASCENSION』(1972)
『マリリン・マグダリーン』(1972)
『オランダ人の写真』(1976年)
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ブッチャー・ボーイ(1997年製作の映画)

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所謂“信用できない語り手”による虚実妄想入り交じった一人称回想という構造の中に、カトリックの抑圧的価値観が浸透したアイルランドの田舎町の息苦しさ、それと結び付いた黙示録的な核戦争の終末論、『ボディ・ス>>続きを読む

本番 ほんばん(1977年製作の映画)

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バッド(な境遇)・ガールの一生を演じきる山口美也子(新人)、圧倒的。男たちに痛め付けられ続ける肉体を、せめて自らは躍らせ彩るストリップ、セックス、セルフ刺青。いちいち素晴らしい。まん子姐さんこと宮下順>>続きを読む

実録・元祖マナ板ショー(1974年製作の映画)

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夕月マコ(本職・ストリッパー)の、いしだあゆみとトゥラ・サターナを足して割ったような顔立ちと訛り&棒読みのアフレコが存在をしっかり浮き立たせる。一応、舞台上に客を上げるマナ板ショーを発明する映画っぽい>>続きを読む

殿さま弥次喜多 捕物道中(1959年製作の映画)

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いきなり赤と青にパッキリ分かれたスプリット・スクリーンでテレパシー会話を始める中村ブラザーズ。奇天烈なオープニングから、二人の再会シーンの可愛らしさったらない。姫に化けた賀津雄を認めたときの錦之助の嬉>>続きを読む

雨にぬれた舗道(1969年製作の映画)

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今更アルトマン特集なんかが組まれてこの映画が観られるとは嬉しい限り。そして、『イメージズ』『三人の女』の女性映画路線は『M★A★S★H』以前から始まっていたのか、という新鮮な驚きが。徐々に狂っていくの>>続きを読む

恋するアナイス(2021年製作の映画)

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新たな短編集が出たので再読したマッカラーズ『悲しき酒場の唄』に「愛される者は、それまで長いあいだ愛する者の心のなかに、ひそかに蓄積されていた愛を爆発させる起爆剤にすぎないことがある。」という言葉がある>>続きを読む

ラブレター(2015年製作の映画)

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ちゃんとデブの走り方をしている斎藤工(≒井口昇)に感心してしまう。

クルシメさん(1998年製作の映画)

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大切な人を傷つけずにはいられない奇病にかかった女と、奇形の舌を持つ女のシスターフッド。口のなかを見せ合うという行為にそこはかとなくセクシャルなニュアンスが込められているが、とはいえ普段人には見せない部>>続きを読む

アイ・ジョージ物語 太陽の子(1962年製作の映画)

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アイ・ジョージの波瀾万丈リアルタイム半生記。むくむくと女児サイズに巨大化するジョニー(ガラス製の人形)とジョージがことあるごとに会話するファンタジー設定は謎だが、その非現実的なトーンが良いアクセントに>>続きを読む

東京ラプソディ(1936年製作の映画)

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キャスト紹介に合わせてそれぞれがワンフレーズごと主題歌を歌い繋いでいくオープニングから早速気持ちの良い音楽映画だ。クリーニング屋の若旦那・藤山一郎のソロ歌唱と共に映し出される銀座の風景(カメラが空にパ>>続きを読む

ノー・ホーム・ムーヴィー(2015年製作の映画)

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『ジャンヌ・ディエルマン』『家からの手紙』『アンナの出会い』等、アケルマンの映画にとって非常に重要であった母との関係が、こんな形で現出され、更にはアケルマン自身の死とも不可分に観ざるを得ないということ>>続きを読む

ロマンス祭(1958年製作の映画)

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原石チエミと落ち目のプロデューサー有島のバディものが徹底されていればもっと良かったが、宝田明はモテなくちゃいけないし、フランクは歌わなくちゃいけないし、フランキーはドラム叩かなくちゃいけないし、おヤエ>>続きを読む

私、オルガ・ヘプナロヴァー(2016年製作の映画)

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チェコの無差別殺人者、死刑囚オルガ・ヘプナロヴァーを描く。彼女が彼女を取り巻く世界から受ける“苛め”をもっと残酷に、憎しみをもっと切実に語ることもできたのかもしれないが、カメラはずっとオルガを追いなが>>続きを読む

未亡人変態地獄(1991年製作の映画)

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改題『白い肌の未亡人 私を苛めて』
夜の新宿で出会う男と女の物語が、マゾヒストのヴァンプものへと不穏に突き進んでいく。そのとば口には、もちろんブラウン管に映るビデオカメラ映像が。姫ゆりが高層マンション
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ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい(2023年製作の映画)

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「人間辞めたい 植物になりたい」の願いが成就する『散歩する植物』、人間の思いが堆積したモノが文字通り呼吸をし始める『眠る虫』(誰かが拾って杭に被せたのであろう軍手が「バイバイ」とその手(?)を振るシー>>続きを読む

一晩中(1982年製作の映画)

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ブリュッセルの暑い夜を舞台に、断片化されたメロドラマ的クリシェを演じるほとんど匿名の人間模様。凡庸な、そして強烈な瞬間・瞬間が数珠繋ぎに連続する。抱擁する男女、恋の相手に会いに向かう女、遠く離れた恋人>>続きを読む

故郷の便り/家からの手紙(1977年製作の映画)

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アケルマンが映すニューヨーク風景映画。あれは70年代始めにブリュッセルからNYCに移り住み、映画作家を目指していた彼女が立った場所、歩いた道、乗った電車なのだろうか。そのときにアンダーグラウンド・シネ>>続きを読む

こんな私じゃなかったに(1952年製作の映画)

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大映が『高校生芸者』を作るよりもずいぶん早い「大学生芸者」の物語だった。宮城千賀子と山村聰の戦争が別った愛の美談はさておき、応用化学専攻・水原真知子と天文学専攻・川喜多雄二という理系同士の健康的恋愛未>>続きを読む

接吻泥棒(1960年製作の映画)

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プレイボーイのボクサー宝田明と「アンパンのおへそ」こと団令子ほか三人の愛人たちによる和製スクリューボール・コメディ。室内でもよく動くカメラとよく動く人物が賑やかす画面とテンポは流石だが、市川崑よろしく>>続きを読む

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