フロントスカイ

Love Letterのフロントスカイのレビュー・感想・評価

Love Letter(1995年製作の映画)
4.8
風邪?(コロナでもインフルでもない)🤒のため体調を崩して寝室にこもったままの日々が続いた4月。
ベッドから岩井俊二監督の長編デビュー作『LOVE LETTER』を久々に鑑賞。
偶然が引き寄せた奇跡の物語なので書きすぎると全くもってネタバレになってしまうので、できるだけストーリーは避けて...

喪失感をテーマにしながらも、全編に美しい映像と音楽とともに、心地良い懐かしさと初恋の甘酸っぱさが漂いノスタルジックで切なくも心温まる作品になっている。

便利さだけで味気ない昨今のSNS等と違って「手紙」が一つの主人公。
彼の死を受け入れられない博子が、「お元気ですか、私は元気です。」と、死んでしまった樹に向けた手紙。

この映画、一人二役を演じた中山美穂の演技が欠かせない魅力の一つ。物静かで慎ましやかで控えめな性格の渡辺博子と、活発であっけらかんとした性格の藤井樹の演じ、どちらも魅力的で素晴らしい。
同姓同名の藤井樹の中学生時代を演じた柏原崇と酒井美紀がかわいくて初々しい。
二人の藤井樹の過去の物語のシーンがとても魅力的で好きだ。ほっこりさせ、もどかしくて切なくて...
図書室の窓から差し込むまばゆい光、風で緩く揺れるカーテン、甘酸っぱい初恋のような淡い思い出が蘇り胸がいっぱいになる。
「嗚呼、この雰囲気懐かしいなあ☺️」
それは遠い昔昔、思春期のあの頃あった誰しもが戻りたくてももう戻れない過去の情景、心象風景であり懐かしくて儚く映るのでしょう。

最後は、さようなら、そしてありがとうの意味を込めて...
雪原から山に向かって、大きな声で「お元気ですか〜。私は元気です〜。」何度も、何度も...

そして、終盤からラストシーンの2人の藤井樹の流れ。こんなネタバレは書けない。切なくて儚くて...涙腺が緩いオジサンは...止まらないよ。
大好きな映画です。