iyuki08

Love Letterのiyuki08のレビュー・感想・評価

Love Letter(1995年製作の映画)
3.1
故・篠田昇氏の撮影センスが日本人離れしすぎてて素晴らしいが、歯の浮くようなセリフ廻しに若干引いてしまった。
というか、導入が長いよ。昔話が始まってからが本番なんだからもっとサクサク北海道に行ってさっさと回想に入っておくれまひょ。したら90分で尺済むじゃんよ。

エスタブリッシングショットやロケ撮の素晴らしさとその他の室内撮影のわざとらしさの差も目立って、いまいち中身が入って来ない。
映画の中身と撮影の素晴らしさが合致してなかったような印象も受ける。この撮影は、おそらく何十年経っても成立する素晴らしいものだが、中身も美術も古クサいので、上滑りして見えるのだ。洗練された撮影故に、たとえば古くっさいワープロが出てこなければ時代感が見えてこない。そのため、中身が古臭くってもなかなかノスタルジイで楽しむってことができないので、楽しさ半減なわけである。通用するビジュアルに中身が伴って見えなくて、脳が混乱して、中身が頭に入ってこないのだ。
撮影とは単に美しいだけではダメで、映画に即した美しさを求めないとダメなのである。その映画にベストな美しさ…その哲学がなけれぱ、真に素晴らしい撮影とは言えないのかもしれない。

というか、そもそも豊川悦二のあの下品な関西弁はなんなんだ。神戸市民はもっと雅な関西弁を喋るものだ。関西弁にも様々な種類があって、その中でも神戸市民は非常に雅なジャンルの関西弁を喋るものなのである。あれでは神戸が舞台なだけの映画と言わざるを得ない。まったくもって、僕の彼女はサイボーグである。豊川悦二さん、関西学院大学に通っていたくせに、頼むでほんまに。
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