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Love Letterのpandaのネタバレレビュー・内容・結末

Love Letter(1995年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

何年かぶりに鑑賞。
今まで何度も観てきた。
最近、年数経て鑑賞すると印象の変わる映画が多いが、この映画は今も、大好きな映画として間違いなしだった。

図書館の雰囲気、貸出票への記入、自転車のペダルを回してつけるライトの明かり、手紙のやり取りで綴られる過去の思い出、懐かしきワープロ、ガーゼのマスク、雪山

私が今まで観た日本の映画で選ぶとしたらナンバーワンです。

ちりばめられた一つ一つのエピソードがそれぞれ宝物のようにお話を紡いでいく。

この映画今回何回目かに鑑賞して、過去と現在の絡め方や、過去のエピソードの出し方タイミングなど、とても考えられたお話だと感心した。

最後に贈り物をもらった気分にさせられるエピソードがとってもいい。
そしてタイトルを思い出すのだ。
ずっと知らないままだったかもしれないことを、何年も経て知る驚きと、淡い恋心が切ない。

口数少なく、ちょっと何考えてるかわかりにくい男子の藤井樹の容貌が、性格は違えどどこか『時をかける少女』の深町君を思わせる存在感なのも素敵で心に残る。

現在の藤井樹を、中山美穂がごく普通に演じているところ、可愛いけれどアイドルオーラをいい意味で感じさせないところが良い。もう一人の博子のキャラクターもなかなか魅力的に演じている。
 

きっとこの貸出票のラブレターは、博子の手紙がなければ樹はきっかけがなくて母校にもいかなかっただろうし、母校の後輩たちと話すこともなかっただろう、ずっと樹の手元まで届かなかったかもしれない。そういう部分に私は惹かれる。

ある瞬間ふと思い出す、温かい人との記憶は人を幸せにする。思い出される人も、思い出す人も幸せだと思う。

うまく言えないが、この映画を観て思い出でこんなに心が温まり、切ないものなのかと。
そして、この映画の博子も樹も思い出だけではなく、現在の現実でもちゃんと前向きに生きているところがとてもいい。

映画っていいな、と心から思う。
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