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花ちりぬのflyoneのレビュー・感想・評価

花ちりぬ(1938年製作の映画)
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大文字の歴史では周縁部にすぎない市井の人々を通して、ある時代の混乱を描く手つきはこれまで観てきた、たとえば『むかしの歌』のような作品にも通じる。
『花ちりぬ』では、男性が画面外に追いやられることで、むしろ画面外の世界の広がりを強く意識させるが、これが禁欲的といってよい安易な切り返しの排除もあり、前衛的というよりはむしろ慎ましく描かれている。
この固定ショットの慎ましい積み重ねがあるからこそ、時に繊細かつ大胆に動くキャメラや花井をはじめとする生き生きとした人物の運動の不意の炸裂に驚愕する。
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