よっしー

クマガイヒロアキ:リザルトのよっしーのレビュー・感想・評価

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「クマガイヒロアキ:リザルト」

「全部見る」シリーズ(https://note.com/zenbu_miru)でご一緒させてもらっている熊谷さんを追ったドキュメンタリー映画。26歳の誕生日までに「やりたい108の煩悩」に向き合う彼が、四半世紀の締めくくりとして、自分そして「監督」の本質に向き合う内容となっている。

熊谷さんは同じ大学の先輩にあたる方だが、実際にお会いしたのは昨年彼が携わった「シノニムズ」の上映の時のみで、こうやって企画では関わらせていただいているが、そこまで関わりの深い方ではない。それでも彼のドキュメンタリーは非常に興味深かった。

108の煩悩のうち、どれくらいを制覇したのかは定かではなかったし、その内容も髪を染めるとか、寿司を金額を考えずに食べる(同日の夜も寿司食べてたのは笑った)とか、結構たわいもないものだったが、これをどう作品に昇華するのかというところに面白さを感じた。

カメラマンさんが、「監督とは何か?」という問いを熊谷さんに突きつける。編集でもなく、出演者でもなく、監督とは何なのか。何をする人なのか。クリエイティブとは。創作の世界において、作る側に立ってみないと考えることのないであろう疑問を、その世界に立ち入ることのない観客にも問いかける様式となって自分もまた考えさせられた。

コロナ禍において、日本中の学生たちが短編を持ち寄って一つの作品に仕上げる「突然失礼致します!」というとんでもない企画を思いついた熊谷さんの前に、立ちはだかる新しい課題は、自分の内面と向き合うことなのかもしれない。今は映画会社の人事で働いてらっしゃるとのことだが、企画力は人一倍ある方だと思っているので、今後の活躍にも期待である。
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