青野姦太郎

スペースバンパイアの青野姦太郎のレビュー・感想・評価

スペースバンパイア(1985年製作の映画)
4.2
マチルダ・メイの伝説的な爆乳によって広く知られている本作であるが、改めてスタッフを見てみると、トビー・フーパー、ダン・オバノン、ヘンリー・マンシーニと映画の神に愛された名前が勢揃いしており、本作の映画としての完成度の高さにも首肯せざるを得ない。あまりに夢幻的な芸術性を備えながらも、まぎれもなくB級SFアクションの活劇性を保持する快作である。ラストのクライマックス、地獄と化したロンドンへとケイン大佐が背水の陣で乗り込んでからの一連のシークエンスはそのどれをとっても美しいが、あえて一つ選択するならば、バンパイアに身体を乗っ取らた味方の腹へと鋼鉄の弾丸を打ち込むケインの背景の白壁に、燃え上がるロンドンの街並みの炎が反射しているあのショット、これはその直後の銃声に伴うささやかな移動ショットとともに忘れがたく印象に残っている。