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ゲームのtのネタバレレビュー・内容・結末

ゲーム(1997年製作の映画)
3.1

このレビューはネタバレを含みます

ニコラスと同じ目線でどんどんと疑心暗鬼に陥っていく展開や、全て掌の上で踊らされているような感覚、父親のくだりに関しても多くを語らない作品の雰囲気は良かったし、好きな人は確かにいそうだなとは思った。が、自分にはあんまり刺さらず。

ニコラスはゲームを通して過去に起きた父親の自殺や常日頃抱えている煩わしさから解放され、自身を見つめ直すことができた、人として成長できた、という話なんだと思うが…いまいち納得できなかった。
父親の自殺が尾を引いているであろうという設定は多くを語られない(回想シーンとしてぼんやりと描写されるだけ)のでよく分からないし、序盤のニコラスは確かに性格に難がありそうには見えてもそこまで問題のある(改善を求められる)人物のようには見えなかった。
つまりはコンラッドが「ニコラスにはゲームが必要だ」と感じた部分に共感ができない。

ゲームの最中、元嫁に過去の言動について謝罪するシーンがあるが、もっとそういうニコラスの成長を感じられるシーンがあれば分かりやすくて飲み込みやすかったかもしれない。「墓に入れられて全てを奪い取られ生まれ変わった」だの「父親の時計を売って父の死と決別した」だの、考察を読んでも全然しっくり来ない。

ラストでニコラス自身もコンラッドに対してゲームに招待してくれたことを感謝するが、果たして「こんなことをする必要があったのか?」と思ってしまう。
ニコラスが序盤にもっと『ゲームの体験が必要な程の嫌なヤツ』として描かれていて、ゲーム中にもっとニコラスの人間的成長と『ゲームの必要性』が描かれていれば、見ている側としてもニコラスがゲームに参加した意義を体感しやすかったし、ラストもすんなり入ってきた気がする。
そうではなかったので、「自分ならどう考えても怒りの方が勝つだろうな」と感じて終わってしまう映画でした。
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