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KIDS/キッズのtubure400のレビュー・感想・評価

KIDS/キッズ(1995年製作の映画)
3.5
年末にかけて色々映画を観た中で考えたのは、どんな映画がいわゆる“現実的”であったり、“リアル”とされるのだろうという事だ。例えば、『ブリジット・ジョーンズの日記』は、ある意味、30代未婚女性のリアルが詰め込まれているのかもしれないけれども、自分にとってははるか遠い世界の、おとぎ話のように思われる。

かのハーモニー・コリンが世に出るきっかけになった『キッズ』は、90年代当時の若者の間ではヒリヒリとリアルな映画だったのだろう。Lou Barlow監修の音楽もかっこよくて、暴力的なシーンでDaniel Johnstonが流れるところはかっこいいを通り越してcheesyだけれども、これはこれで…という味わいがある。若い頃のクロエ・セヴィニーとハーモニー・コリンのよくわからないお洒落さが見ていて楽しい。

同じくハーモニー・コリンが『スプリング・ブレーカーズ』で描いた、体格のいい爬虫類のような2010年代の若者の姿に比べると、90年代の若者達、テリーやキャスパーは、せいぜいsensitiveなハイエナという感じで、退屈しきっていて、暴力的で、悲しそうだ。そんな姿をフォトジェニックに元・写真家の4-50代の監督(ラリー・クラーク)が撮っているというのも、なんとなく悪趣味な感じがする。悪趣味で、刹那的な生き様を、美しく記録するということ。そこに当事者としての壮烈な混乱や怒りを加えた傑作『ガンモ』の素晴らしさに比べると、ヒヒ爺の悪趣味な青春記録映画のようにしか思えなかった。
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