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獣たちの熱い眠りのisopieのレビュー・感想・評価

獣たちの熱い眠り(1981年製作の映画)
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お蔵出し映画祭 特別招待作品

一度もソフト化されたことはなく、今では忘れ去られた映画だが好きな作品だ。短く刈り込んだ髪型と不精髭を生やした三浦友和の精悍なルックスに、山口百恵の引退後、初めての映画となったこの作品へ賭ける気合いがみなぎる。『ローリング』の三浦貴大と同じ29歳。引きの画と長回しが印象的な仙元誠三の撮影は松田優作のときの躍動とはまたちがった線をねらっている。

中尾彬、伊吹吾郎、峰岸徹、成田三樹夫、安岡力也、鹿内孝、阿藤海、中丸忠雄ほか一本立ちした三浦友和を囲む助演陣が豪華。佐藤蛾次郎、吉行和子、水原ゆう紀、池波志乃の友情出演も。なかでも強烈な印象を残すのが恐喝グループの石橋蓮司で、登場のたびに三浦友和にボコボコにされるのが笑いを誘う。〈何の戦略的意識もない自己模倣ぶり〉とこの映画を小気味よくけなした金井美恵子も蓮司はよかったと書いた。「今年は国際障害者年ですよ!」の最期の台詞がケッサクな石橋蓮司は三浦に撃たれると記憶違いしていたが、三十数年ぶりに再見すると伊吹だった。

お蔵出し映画祭の舞台あいさつに立った村川透監督は『さらばあぶない刑事』のキャンペーンと高橋英樹のドラマの仕事があるのであわただしく帰っていかれた。79歳!には見えない若々しさ。健康の秘訣は、と問われて「走り続けることです」と答えておられた。
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