のり

スリ(掏摸)ののりのレビュー・感想・評価

スリ(掏摸)(1959年製作の映画)
4.0
寡黙な青年がスリに魅せられ、のめり込んでいく一方で、次第に人間らしい感情を失っていく様を描く。

登場人物たちの動きもセリフも最小限で、青年の淡々としたモノローグさえもごくごくシンプル。そのため背景を掴むのにやや苦労した。多分大半の人はすんなり理解できると思うけど。

音の演出は少ないが、スリが主題のため妥当。そのスリのシーンでは、手がニュルニュルと動き、華麗に美しく魅せている。連携プレーは圧巻で様々な手口をこれまた美しい映像で魅せている。

ブレッソンはスリ自体をどうとも思ってはおらず、あくまで美しい映像を撮るために題材としたのだろう。スリを肯定も批難もせず、話としても青年のただの堕落の物語ではない。少しラストは不意を疲れた。
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