キッチー

スリ(掏摸)のキッチーのレビュー・感想・評価

スリ(掏摸)(1959年製作の映画)
3.8
スリの映画といえば2015年の映画「フォーカス」のウィル・スミス、マーゴット・ロビーを思い出しますが、こちらは1959年フランス、ロベール・ブレッソン監督のミッシェル(マーティン・ラサール)という1人のスリに密着したモノクロ作品。

素人のミッシェルがスリの道に入り、テクニックを身につけ、次々と犯罪を犯していきますが、早い段階で警察に目をつけられるところ、レ・ミゼラブルのような雰囲気もあります。監督がドストエフスキーの「罪と罰」にインスパイアされた作品らしく、貧しく暗い時代にやむを得ず犯罪に走ってしまう人々(ミッシェルが犯罪を肯定するような台詞もあり...)を描いている点で、社会的なメッセージもあると思いました。

チームで仕事をしたり、華麗なテクニックも見られますが、決して美化されていないところ、リアリティーもありました。
親の愛情や恋愛要素もあり、なかなか深い感じの映画であり、表現も繊細かつ大胆、好きなタイプの映画だったと思います。

あと、この監督、職業俳優を嫌い、素人を使った作品を作ることで有名ですが、主演のマーティン・ラサールの目、映画「ナイトクローラー」の時のジェイク・ギレンホールに似てるような気がして、印象的でした。それとジャンヌ役のマリカ・グリーンはキレイ、彼女はカラーで見てみたかったです。
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