『はじけ鳳仙花 —わが筑豊 わが朝鮮— デジタルリマスター版』が配信されているサービスは見つかりませんでした。
富山妙子には「アジア人として、女として、美の周縁から出発する」という信念があった。 本作の中核となる画集『はじけ!鳳仙花―美と生への問い』とリトグラフ『引き裂かれた者たち』には、アジア人、特に朝鮮半島の人々へ向けた眼差しがある。一方、土本は水俣病に関連する映画を数多く監督している。 二人は、表現者として同じ地平を歩いてきた。土本はこう語っている。「富山さんには、エロスとユートピア、解放の美学ともいうべきものがある。 なぜ彼女は筑豊・朝鮮をテーマに暗いリトグラフを描き続けるのか。また彼女がどうしてこんなに美しい世界を同時に並行して描くことが出来るのか」。 土本は水俣病による絶望的な現実と、それでも生きていこうとする人々の力をすくい上げようとした。 そんな土本にとって、富山が持つ「暗いリトグラフと美しい世界の両立」に迫ることは、必然だったに違いない。 本作は土本と富山のやり取りにも焦点を当てている。それは「同志」である二人の表現に対する真摯な追究の姿でもある。