星降る夜にあの場所で

そして船は行くの星降る夜にあの場所でのレビュー・感想・評価

そして船は行く(1983年製作の映画)
4.8

先日、興味をそそられていたのにも関わらず大阪の映画祭ということもあって観ることが出来なかった『ラブリー・マン』をTIFF2016で鑑賞することが出来た。
予想通り私好みの作品だった。
その中で、大好きな曲の1つが流れる。
とてもメジャーな楽曲なので過去に様々な作品で使用されているのですが、その使われ方が私が知りうる作品群の中でベスト3に入れても良いぐらいの素晴らしさだった。
そして本作品はそのベスト3にランキングされている作品の1つ。

『道』『カビリアの夜』以外で私が繰り返し鑑賞しているフェリーニ作品は、『甘い生活』でもなく『8 1/2』でもなく『フェリーニのアマルコルド』でもない。
『フェリーニの道化師』と本作品♪
もう大好きな作品。
ダラダラ書いても仕方がないのでズバリ、フェリーニ流最高のレクイエム。
人間歳を重ねるとふと、どうしょうもなく胸が苦しくなるような人生の黄昏時に遭遇する。
まさにこの作品がフェリーニにとってのそれではないかと…
両親、N・ロータ、L・ビスコンティ、隆盛を誇ったチネチッタなど…フェリーニと縁があったもの全てを切なく寂しく懐かしい思いで顧みながらも、最後は何があろうと自らの残された人生をこれからも精一杯映画作りに費やそうと鼓舞しているかのような笑えるラストシークエンスが逆に泣けてくる。

~追記~
この作品でグラスハープの存在を初めて知って感動しました。