ずっと観たかった円盤化されていない作品がU-NEXTにあることを知りすぐさま鑑賞。
チェルノブイリの原発事故によって汚染されたロシアとの国境沿いにあるベラルーシのブジシチェ村。大半の村民が街へ避難する中、僅かな老人とひとりの青年だけが村に残った。老人達を説得するために生活用水に使われている泉の線量を若者達が調査するがその湧き水からは全く放射能は検出されなかった。
そんな村に残された人々の生活を淡々と追うドキュメンタリー。21世紀初頭の話なのにネットやテレビはおろかガスや電気もない。それなのになぜこんなに豊かな暮らしなんだろう。原発なんて1秒たりとも映らない。それなのになぜこんなに反原発のメッセージが伝わってくるのだろう。
力仕事を一手に任される村で唯一の若者アレクセイ。その畑仕事で鍛え上げられた肉体の美しいこと。都会のジム通いで作られた人工的なものとは明らかに違う。その野性味溢れる肉体美は人間も大自然に生きるただの動物なんだと思い出させてくれる。
放射能が検出されない奇跡の泉。その泉から生活用水を汲み上げる体力がなくなれば生きてはいけずどんな人間も死を待つしかない。その厳しいが自然の摂理に則った生き方がこの地球上で繰り広げられていた事に憧れと畏敬の念を抱かずにはいられない。しかも21世紀の話よ！
それにしても教授（坂本龍一）の音楽が素晴らしい。メインテーマ以外の伴奏を初めて聴いたけど、どれも余計なことを一切していない。まさに匠のお仕事。
