足拭き猫

四畳半物語 娼婦しのの足拭き猫のレビュー・感想・評価

四畳半物語 娼婦しの(1966年製作の映画)
3.7
強烈なビジュアルからの予想に反して、誤解を恐れずに言えば三田佳子のアイドル映画だった。野川由美子もかわいらしい。しのがスリの吉岡に恋をしてどんどんしおらしくなっていく一方、きみは最初は純情な田舎娘から経験を積むほどに強くなって存在感を増していき、その対称性が印象的。

不本意に娼婦をやっているという設定なので上品なイメージの三田佳子が合っているが、筋はスリと情夫の間で揺れ動くグダグダが続くので若干ダレ気味に。

39カットしかないという長回しだけど人物がよく動くので長さは感じさせず。人の不幸を喜ぶ女郎屋の女将三島ゆり子(たぶん)が意地悪感たっぷりで、特にきみの初の相手が腹上死しショックで泣き叫ぶきみ、横で高笑いする女将、戸惑うしのの3人の画がエグくて笑ってしまう。霧のせいで迫ってくる危機に気付かずさらに結末を知るのが遅れるという演出も面白い。

音楽がフランス映画風でそういうテイストを意識したのか、単に軽妙さを狙ったのか。