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Magic Farm(原題)
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『Magic Farm(原題)』に投稿された感想・評価

Kota
3.7
“もうずっと帰りたい。”

NYのメディアクルーのチームはあるミュージシャンを取材するためにアルゼンチンに。だが、そのミュージシャンを見つけることができず、代わりに現地の人々とフェイク番組を作ることに・・。てんやわんやな状況下での言葉が通じない地元の人たちとの交流は、やがて絆が生まれてきて…。

気鋭アマリア・ウルマン監督二作品目がサンダンスやベルリン映画祭に。彼女独特のユーモアセンスとシュールなテンポがキャスト達にも宿り、なんかよく分からないけど中毒性のある作品でめちゃ好き。あんま深く考えずにボーッと没入するのが良いと思う。服装がみんな可愛いのと、オープニングとエンディングが最高。
1.0
【ガンギまった観光客の薄っぺらいカリカチュア】
MUBIで結構前に観たのだが、あまりにもひどいので放置していた。ただ、カンタン・デュピュー『The Piano Accident』のレビューを書くついでにこちらも書くことにした。

アルゼンチンの辺鄙な村にやってきたアメリカ人の傲慢な態度を風刺した作品。映画はSNSに動画をアップするガンギまった観光客像を風刺しており、映画はコテコテのエフェクトが実装されている。確かに、店でものを買う際の言葉の通じなさを小馬鹿にした態度など、日本に来る外国人観光客の傲慢な態度に通じるものがありその描写自体はリアルではある。

しかし、そうした態度やSNS的映像演出を馬鹿にするだけでは何も始まらず分断を広げるだけであり、歩み寄ってそうした心理に行き着くプロセスを掬い上げるべきであろう。要は自分たちのコミュニティから離れ、匿名的他者になる開放感が露悪的アクションへとつながる様を丁寧に描くべきであり、一般人が撮影する表層的な映像を表層的なまでに踏襲することが映画の役目ではないと強く言いたい。
akrutm
3.0
『エル プラネタ』で鮮烈な監督デビューを飾ったアマリア・ウルマン監督の長編第二作となるコメディ・ドラマ映画。

米国のドキュメンタリー・クルーが、ちまたでバズっているウサギの耳をつけた正体不明のミュージシャンを取材するために、南米を訪れる。しかし、プロデューサーのミスで全く関係ないアルゼンチンの田舎町に到着してしまう。そこで地元住民を巻き込んでフェイクなトレンドを捏造し、それを撮影するという暴挙に出たスタッフたちを、地元住民との様々な人間関係とともにドタバタ劇として描いている。

表面的にはそのような「失敗取材モノ」のコメディであるが、実はその裏には、アメリカ人やアメリカメディアという文化的特権階級の自己中心的な振る舞いへの痛烈な皮肉が隠されている。ラテン・アメリカ(南米)に対してのステレオタイプに縛られ、上から目線で接し、地元の人々への興味は希薄。その典型的な対比として描かれているのが、除草剤による健康被害や環境被害という現地の村が抱えている社会問題と、それにまったく無関心な自己中心的な取材スタッフという構図。例えば、番組ホストのエドナは自分の個人的なトラブルにしか関心がなく、農薬問題には徹底的に無関心だし、プロデューサーのジェフも、現地女性と軽薄な関係を持つだけで、彼女の気持ちにはまったく無関心。

しかし、この映画の決定的な問題は、そのような皮肉がまったく鑑賞者に伝わらないような平坦で退屈な描き方にある。中身のない物語をあえて中身のない形式で描くという監督の意図があるのかもしれないが、それだけでは空回りするのは仕方ないだろう。例えば、除草剤の健康問題はほとんど言及されておらず、これが意識できるのは、フェイクドキュメンタリーを撮影している最中に農薬散布用の飛行機が低空飛行するという、ヒッチコックの『北北西に進路を取れ』をパロったとしか思えないシーンのみである。よくよく考えると、早老症の男性や(メイクではない)母斑のある女性が出てくるなど、ほのめかされてはいるのだが。結局、退屈なドタバタ劇にしか見えないのである。

さらに失敗しているのは、そんなドタバタ劇にそぐわないような、様々な動物に取り付けたカメラで撮影した映像や、とても鮮やかな色彩(草木の緑がとても濃いけど、これも視覚効果だよね?)などの芸術性を容赦なくぶち込んだ闇鍋的スタイルだろう。ウルマン監督のアーティストとしての側面が出てしまい、策士策に溺れたと言うところか。

いずれにしても、『エル プラネタ』の出来が良かっただけに、本作の完成度の低さはとても残念である。アマリア・ウルマン監督にとって、次の第三作目が映画監督として大成できるかどうかの正念場だろう。大いに期待したい。

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