Hina

チャーリー・ウィルソンズ・ウォーのHinaのレビュー・感想・評価

3.4
極秘戦争とは言うものの、実際は、この時アメリカに戦争をする元気はなかった。

ベトナム戦争直後の国民の憤りもあり、戦争をするには潮合いが悪く、最小限の関与で、最大限にソ連を消耗させようと、武器の提供に走った。というバックボーンがある。

劇中に描かれないが、パキスタンは、アメリカから受けた武器の約半数程をアフガニスタンに渡さず、自国のポケットに入れていた。

それらの武器は後に、パキスタンが育てたタリバンの手に渡り、アメリカに牙を向くことになるが、これは誰の予想の範疇でもない歴史の皮肉。

チャーリーが最後でしくじったと言うように、アメリカがソ連を撤退させ満足し、その後のアフガニスタンの面倒を見ず無責任に支援を外れたこと、

別のストーリーである湾岸戦争の曲折の中でビンラディンが淋漓たる反米の瞋恚を持ってアフガニスタンに流れ着いてしまったこと、

他にもパキスタンの思惑や、イラクの石油利権など様々なファクターが複雑に絡み、911の勃発。そこから長い浪費の20年へと突入していく。

そして、それら全ての場面に"いずれ わかる"と禅の師匠は言っている。

ただの英雄譚ではなく、どんな英雄の伝説をも凌駕する歴史の残酷も仄めかすところがグッとくる作品。
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