
第一話 『無口なピアノ』 閑散としたフェリーターミナルの片隅、学校帰りにピアノを弾くのが里奈の 日課。ある日コロナ禍による客足減少に伴い航路は廃止、ピアノも使用禁止に。 落ち込む里奈に無愛想な清掃員、村岡が「うちにもピアノがある」と自宅へ招く。 そこは、廃業したばかりの喫茶店だった。 第二話 『記憶と水音』 小さな画材屋を営む津田は、⼊院中の幼なじみ川瀬の病状が気がかりだ。 やがて自宅療養になった彼と、その娘奈々を交えた思い出語りのなかで、 幼少時に故郷の長万部町で河童を見た話にいきあたる。翌日、3 人は故郷へ 向かい朧げな記憶を辿って沼を探すのだが… 第三話 『昨日の煙』 かつて S L の乗務員だった元国鉄職員の吉井は、妻に先立たれてからの 一人暮らしをあきらめ⾼齢者施設への⼊所を決める。家財処分のため呼び 出した引取り業者の杉⼭に「私も捨ててくれ」と言い出した彼の願いは 「繰り返し夢に出てくる場所」を探すことだった。
海炭市にある造船所の一部が閉鎖され、大規模なリストラが行われた。颯太は職を失い、妹の帆波とふたりきりで寂しく大晦日の夜を迎えた。年が明けて、颯太と帆波は初日の出を見るために山に登ろうと思い…
>>続きを読む櫻の花が咲く季節、ひとりの老いた女性が警察に保護された。 身元不明のその女性には、どうしても行きたい場所があるという。 「ソメイヨシノは60年咲くことができない——?」 そんな噂の…
>>続きを読む日本海の沖合にぽっかりと浮かぶ山形県唯一の有人離島——飛島(とびしま)。酒田港から定期船で75分、島の面積は2.75km2。本土を望めば雄大な鳥海山、豊かな自然をたたえた島は、その全域が国…
>>続きを読む戦後の広島。田山仁(小沢仁志)は6年の服役後、「第二次広島抗争」を集結させる立役者となる。広島やくざ社会において田山の名前を絶対的なものにしていった。田山が鳳政会二代目理事長に就任したこと…
>>続きを読む杭州市、富陽。大河、富春江が流れる。しかし今、富陽地区は再開発の只中にある。顧(ぐー)家の家長である母の誕生日の祝宴の夜。老いた母のもとに4人の兄弟や親戚たちが集う。その祝宴の最中に、母が…
>>続きを読む©Tsubo-film