
第一話 『無口なピアノ』 閑散としたフェリーターミナルの片隅、学校帰りにピアノを弾くのが里奈の 日課。ある日コロナ禍による客足減少に伴い航路は廃止、ピアノも使用禁止に。 落ち込む里奈に無愛想な清掃員、村岡が「うちにもピアノがある」と自宅へ招く。 そこは、廃業したばかりの喫茶店だった。 第二話 『記憶と水音』 小さな画材屋を営む津田は、⼊院中の幼なじみ川瀬の病状が気がかりだ。 やがて自宅療養になった彼と、その娘奈々を交えた思い出語りのなかで、 幼少時に故郷の長万部町で河童を見た話にいきあたる。翌日、3 人は故郷へ 向かい朧げな記憶を辿って沼を探すのだが… 第三話 『昨日の煙』 かつて S L の乗務員だった元国鉄職員の吉井は、妻に先立たれてからの 一人暮らしをあきらめ⾼齢者施設への⼊所を決める。家財処分のため呼び 出した引取り業者の杉⼭に「私も捨ててくれ」と言い出した彼の願いは 「繰り返し夢に出てくる場所」を探すことだった。
櫻の花が咲く季節、ひとりの老いた女性が警察に保護された。 身元不明のその女性には、どうしても行きたい場所があるという。 「ソメイヨシノは60年咲くことができない——?」 そんな噂の…
>>続きを読む海炭市にある造船所の一部が閉鎖され、大規模なリストラが行われた。颯太は職を失い、妹の帆波とふたりきりで寂しく大晦日の夜を迎えた。年が明けて、颯太と帆波は初日の出を見るために山に登ろうと思い…
>>続きを読む京都の嵐電の街。鎌倉からやって来たノンフィクション作家の平岡衛星は、嵐電の走る線路のそばに部屋を借り、嵐電にまつわる不思議な話を集める取材を開始する。そこには、衛星と衛星の妻・斗麻子が、且…
>>続きを読む愛媛県宇和島市。小説家デビューを果たすものの2作目の小説が書けない主人公の赤松雀(武田梨奈)は、地元に戻り図書館の自転車課(自転車で図書を運ぶ)で働き始める。共に働くのは元ロードレーサーの…
>>続きを読む珈琲の香りに誘われて、函館に短い夏がやって来る。 函館の街にひっそりと佇む古い西洋風アパート翡翠館。オーナーの荻原時子は翡翠館を仕事場兼居住スペースとして貸し出し、若い才能を後押ししている…
>>続きを読む©Tsubo-film