飲み屋の看板娘（夏麗子）と一緒に新婚生活を始めた海千山千の男（久保新二）が、妻の心境を蔑ろにしたまま、豪奢な女性遍歴を繰り広げていく。本能に忠実なエロ親父の淫蕩生活を綴っている、日活ロマンポルノ。現代映像企画製作。

主演男優・久保新二は、港雄一、野上正義と共に「ピンク男優御三家」と称されていた人物。雑誌掲載の体験談「俺が寝たポルノ女優50人」が発端となり、女優から告訴されたことで有名（各紙100万円、久保100万円で示談成立）。

本作は、前述のことを踏まえたうえで、奇人"久保新二"を人間観察するための作品と捉えることができる。フィクションとノンフィクションが混然一体となっており、久保新二がセルフ・プロデュースに徹しているようにしか見えない。

一応、"男が改心する系統"の典型的なドラマが動くのだが、良くも悪くもウソっぽさが拭い切れない。基本的に、久保新二のアナーキーぶりを楽しむための作品であり、口が動いていないのに喋りまくるところが醍醐味。いわば、ポルノ版広川太一郎。

事務所の二階の干支だかなんだかが描かれた壺飾りたい。ミス町内の夏麗子さんとこの猫の置き物もかわいい。たぬき通りの看板も気になる。競馬デー新聞タバコ無料。ほんとだよごめんねすみません許して愛してるよだけで生きてる久保新二サイコー。取り返しに走るとこグッときました。黒に赤コーデもキマってる。