マイナー美少女映画発掘シリーズ。
凶悪犯に弟を殺され、犯人への復讐のため若くして警察官になったエリ。転勤となった東京で、非行に走る若者を取り締まる少女達の組織“S7”のリーダーに任命されるのだが、突如現れた浮遊する刀に宿る精霊に見出され、悪の精霊に立ち向かう使命を課せられる。

上記のあらすじで察せられるように物語の方向性は散らかりまくりだし、棒読みすぎる演技や音割れ上等な技術的クオリティの低さなど分かりやすい問題点も多いのだが、そもそも劇映画としての構成や演出が独特すぎて“異形”という言葉が相応しいようなアイドル映画になっている。
ファンタジックな世界観で一応アクションシーンっぽいものもあるが、画面全体を覆うような謎の安っぽいエフェクトや、静止画を使って無理矢理トランジションするねっとりした武器の出現シーンなど、変すぎる演出のオンパレード。仮にいくら予算がなく、アクションの演出がド下手だったとしてもこういった方向性にすることはないと思うので、意図的な演出としてやっているのだと思う。

また、前半で主演の西田えりが歌う挿入歌パートがあるのだが、歌詞までテロップで表示させる思い切りの良さにも驚いた。(その割に映像は公園をジョギングする姿や池に浮かぶ鳥を映すようなホームビデオ感満載のやつだった)

本作のパッケージでは西田えりに加えてS7の少女達6人が名前付きで紹介されており、美少女揃いな彼女達の活躍にも期待していたのだが、マジで出番が少なすぎてガッカリ。万引きを見つかって後にS7に参加する2人組だけは唯一そこそこ出番があったが、それ以外はS7の制服姿もなしという不遇っぷり。
この2人組、万引きに至るまでに怪しげなストーカー男との移動風景が長尺で描かれるのだが、そこに渋谷の路上で行われるアボリジニの楽器パフォーマンス(おそらくディジュリドゥ)の旋律がBGMとして重なり、全編の中でそこだけ異様なカッコよさがあった。

その他細かい点として、エリの弟が殺された事件の報道で「サカキバラセイキ」という名前が連呼されており、当然それは元少年A・酒鬼薔薇聖斗の存在をなぞらえているのだろうが、かなり直接的で時代の面影を色濃く感じる要素だった。

本作の主演である西田えりの公式YouTubeチャンネルで、本編映像が無料公開されている。間違いなく独特なので、珍作愛好家は一度観てみるといいと思う。

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