柏エシディシ

ラヴ・ストリームスの柏エシディシのレビュー・感想・評価

ラヴ・ストリームス(1983年製作の映画)
3.0
ジョン・カサヴェテス・レトロスペクティヴ・リプリーズにて。
カサヴェテス、実質の遺作。
愛の奔流のタイトルの通り、取り留めの無さを感じるカサヴェテス作品の中でも特に奔放で、その終幕のそこはかとない寂しさと相俟って他作とはまた違う独特な後味を残す。
「俺は大人だから独りでは眠れない」という科白はすごい。人は愛なしでは生きられない。カサヴェテス映画は繰り返しそのことだけを訴えてくる。
ジーナ・ローランズの常軌を逸する演技は本作でも凄まじい。プールサイドのシーンなんてハラハラとワクワクが同時に湧いてくる。あの見事なバク転飛び込みはスタントマンの仕事らしいけれど、褒められるといつも「どうも!」と応えていたらしい。ジーナ、おちゃめ。
動物を大量に連れ帰ってきちゃって本人もカサヴェテスも途方に暮れているシーンも笑っちゃうやらさみしいやら。
どこか疲労感を引きずった顔をしている主人公ロバートを演じるカサヴェテスは死期を悟っていたとも、当時少し緊張感のあった夫婦生活が反映されたもの、とも。
そう思うと、ジーナとのダンスシーンとラストの窓越しの所作には胸が締め付けられる。
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