「ロゼッタ」
ダルデンヌ兄弟が初めてパルム・ドールを獲った作品。2個目のパルム・ドールを受賞した「ある子供」と同様に貧困層の生活を描いている。
「まともな生活がしたい…」 この言葉が胸に刺さる。若くやる気にも満ちているのに安定した職を得ることもできず、酒とセックスに溺れる母とトレーラーハウスで生活するしかないロゼッタ。
何をやっても上手くいかない生活って凄く苦しいだろうな。画面越しにこちらまで辛くなってくる。「ある子供」は本人の問題も貧困の理由になっているという印象だったが、ロゼッタの場合はそうではないところがより苦しい。
ロゼッタの生活の不安定さと焦りを表現するかのように至近距離から追いかけるような撮影の方法が印象的だったが、人によっては酔いそうな映像だった。とにかく苦しく辛い90分間だが、観る価値は十分にある作品だと思う。