セルジオ・レオーネの助監督だった男トニーノ・ヴァレリ監督のコメディ西部劇。(当時、観客に飽きられていた西部劇は色々模索していた)
引退を決めた伝説のガンマンの前に、彼に憧れる名無しの青年が現れ花道を飾らせようと150人の強盗団と対決するよう持ちかける。
有名すぎるモリコーネの能天気なテーマソングがよく似合うおとぼけ西部劇だがギャグのセンスが良く、レオーネ本人が関わっているためダイナミックなアクションシーンやここぞとばかりに鳴り響く曲、寄りすぎな程の顔面クロースアップに間の取り方といったレオーネ節を彷彿とさせる演出など、新しい挑戦に伝統的なマカロニウェスタンの作法も取り入れた本格派作品の側面も持ち合わせている。
コメディながら作品のテーマは「引退と継承」であり、それが現実世界のヘンリー・フォンダやセルジオ・レオーネに捧げられているようにも見える。
昨今のリブート作品ブームに見られるそれを50年も前の作品で既にやっていたというのは実に面白い。
血生臭いイメージの西部劇とは全く違う温かさを感じさせる音楽はさすが巨匠エンニオ・モリコーネといったところ。
見やすいながら骨太な部分も持ち合わせている西部劇の掘り出し物的な一作だ。
ラストシーンもニッコリ。