ヴぇる

独裁者のヴぇるのレビュー・感想・評価

独裁者(1940年製作の映画)
4.3
ホロコースト映画、そして演説シーンはトップレベルの中の一つであり、偉大な作品だ。
言わずと知れたチャップリンの名演説は知っていたが、実はそれしか知らず今作を視聴した。その結果圧倒的なボリュームと美しさ素晴らしさが詰まった名作だとひしひしと感じた。

前半部分はある意味プロパガンダにもなっており、大胆な風刺と非難を作品に詰め込んでおり、公開年が1940年と考えると、心底驚嘆の言葉しかない。
歴史的名作というレベルではなく、犯すことの出来ない偉大な作品だ。

セットの数は多く、何度も使用することがあるが、それすらも笑いになっているし小物も凝っている。多少セットは小さく見えるが、精一杯大きくさせる努力は見えるしエキストラの使い方が巧みで広く感じ、実際上手く取っているように見える。
お気に入りは地球の風船を扱うシーンだ。雰囲気は高まり美しくも独裁者としての哀愁や悲哀を感じる。

全体的にホロコーストの恐怖感の煽り方は非常に上手く、緊張感は増していく。
残酷でむごいシーンはほぼほぼないが、音と、声だけでそれは増していく。
今作のジャンル分けはコメディになっているが、個人的には新しいジャンルというか、オリジナリティ溢れる作品に感じた。

公開当時ヒトラーの巻き起こした第二次世界大戦とは無縁の中今作を製作し、世論も付いてこなかった時代に大ヒットを記録した今作は心の底から尊敬し偉大な作品だと感じる。

総評として、演説シーンだけでも素晴らしさは伝わると思うし実際名演説なのだが、作品としての通じるテーマは全編を視聴しなければ伝わらないとも思う。
是非おすすめしたい1作だ。
ヴぇる

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