ルイス・ブニュエル監督の1959年カンヌ映画祭特別審査員賞受賞作。
メキシコのスラムの一角で暮らすスペインから来た神父ナサリオの物語。
わずかな施し/お布施で暮らし、服やお金を盗まれても動じず、喧嘩で娼婦仲間を刺し殺した女アンダラを匿い、そのせいで神父の資格も剥奪され、巡礼の旅に出るナサリオ神父。
途中、アンダラの妹ベアトリスと偶然出会い、一族が暮らす家の小さな子供を病から救い、奇蹟を起こした!と、巡礼の同行をすがるアンダラとベアトリスを仕方なく連れて旅を続ける神父。
疫病ペストの村で献身的に働いたりするが、ベアトリスが付き合っていた極悪非道な男ピントに見つかってしまい、彼の通報で、3人は警察に逮捕され、他の囚人と共に徒歩で長旅を続ける。。。
旅の途中、アンダラに「あんたの醜さに一目惚れした」的に好意を寄せる小人のウーゴとアンダラの別れも印象的。
後半、共に行動する囚人の一人から「あんたは善の側、俺は悪の側。しかし、お互い何の役にも立ってない。」と言われた時のナサリオ神父の絶望の表情。そして、おばちゃんからパイナップルを恵まれるのを一旦拒否しつつ受け入れるラストシーンの表情。
この2つのシーンがこの作品を象徴しているような。
宗教/信仰/神の存在へのブニュエルなりのシニカルな視点を感じつつ、色々と考えさせられる読後感でした。