2022/11/2
「Life work of Akira Kurosawa」が配信されて観たので本作に記述。NHK特集「黒澤明の世界」や「ラ・ジュテ」で有名なクリス・マルケルの「AK」が黒澤ドキュメントで有名。膨大な記録映像から黒澤の演出術や画面構成の考え方が記録されていて映画学校の教材みたいな作品だ。結構怒っていると言う印象があったが本作では温和な黒澤明が見れる。井川比佐志のNG連発には驚き、粘り強く待つ黒澤明が印象的だ。やや礼賛型ドキュメントなので内面に食い込んでないが貴重なドキュメント。該当シーンを見るため「乱」鑑賞。やっぱりオープニングだけ良い作品だ。
2017/6/3
スケール、衣装、音楽が見事なだけに話が残念ですね。何回か観てますが、今回再見しても話のつまらなさは、黒澤映画ワーストですね。あくまで個人評ですからお許しください。何で面白くないかを確認して、やっぱり面白くないの繰り返しです。でも観るべきシーンが何個かあるのでそこだけ観てしまう。オープニングのイノシシ狩りのシーンは、今見ても見事ですね。大殿の城を燃やしまくるシーンは、音楽だけでSEなしというのは、シュールであり黒澤美学の集大成と言ってもいいと思いますね。ただ何で長男、次男が少ない手勢の大殿を大軍勢で襲うのかは、理解しかねるところですね。ワダエミの衣装は、凄すぎるのでこれだけでもこの作品を作った甲斐があったと思いますね。音楽もこれで黒澤と完全に別れてしまう武満徹のシュールな現代音楽。個々には、素晴らしい技術と見事な芸術性があるのに脚本が酷いとこうなるという典型的な映画です。橋本忍「複眼の映像」を読んでも小国英雄もこの作品の途中で降板、完全に決別。井手じゃ抑えられないだろうし、こんなの映画にしたがる人の気が知れないといったような状況。やはり人の意見を聞けなくなった黒澤明は、かつてのヒューマニズムあふれ、躍動感のある映画は、撮れなくなったしまったと感じざる得ません。気がついたのは、町とか市井のシーンが全くなく戦闘シーンもどっかのゴルフ場でやっている感じで全く影武者のラストの迫力にもならない。緑が新緑過ぎて深みがないなと「蜘蛛巣城」は、白黒でしたが深い緑のような気がしました。原田美枝子が頑張っていたのは理解しますね。