ぽち

スターリングラードのぽちのレビュー・感想・評価

スターリングラード(1993年製作の映画)
2.9
大金をかけて作ったのが分かる迫力ある映像と、追い詰められていくドイツ兵の絶望感が良く描けていて見所の作品。

人間ドラマに重きを置いているのだが、そのわりにキャラが全く立っていないのが難点。

リアリティを重視して、無精ひげに汚れた衣装や顔が多く、誰が誰だか見分けがつかない事がマイナス。それにラストまで観るとハンス少尉が主人公なのだろうと思えるのだが、一人にフォーカスするのではなく小隊全員をメインにした描き方なので、一層誰が誰か分からなくなる。

ハンス少尉を演じたトーマスに今一つ役者としての華が無いのも原因か。わざとらしくても良いのでもうちょっとキャラ立ちしてほしいところだ。

印象に残ったのはメガネの超憎たらしい上官と、あっけなく味方に撃たれてしまった女性ぐらい。他は全員で何人いたのかもよく分からないし、だいたい主人公の顔を、見たすぐ後だが思い出せないぐらい。

戦闘シーンは広いロケ地で大勢のエキストラを使い、大量の火薬を使って派手に撮っているので見所ではあるが、B・PR(ビフォア・プライベート・ライアン)なので、撃たれて両手を上げお決まりのポーズで「わー」ってやられる兵士が多く、そういった意味でのリアリティのある迫力はない。

負け戦の悲惨さは良く描けていたが、もう少し大きなテーマが欲しかったところだ。これから観る人は最初に「あ、この人がハンス少尉で、主人公」と目を付け、徹底的に彼のシーンを追うと分かりやすいかもしれない。笑



余談。
以前にも書いたのだがもう一度。

超個人的感覚で勝手に、ある映画を境目にそのジャンルが変わった時に、その作品を境に前後で分けている。

戦争物だとやはりプライベート・ライアンのあのオープニングの描写だろう。あれ以降「わー」って血も出ないでアイコン的にやられる映画は皆無となった。

なのでB・PR(ビフォア・プライベート・ライアン)とA・PR(アフター・プライベート・ライアン)で分けている。

他のジャンルでも勝手に分けているのが多々ある。SFだとB・2001とかアニメだとB・AKIRAかな。CGはB・JP。スぺオペはもちろんB・SW。

境目となる作品は当たり前だけど名作ぞろい。自分で基準を作ってみると楽しいですよ。
ぽち

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