ぷん爺さん

グエムル -漢江の怪物-のぷん爺さんのネタバレレビュー・内容・結末

グエムル -漢江の怪物-(2006年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

めっちゃ久しぶりにグエムル見ました。
最後に見たのはたぶん中学生の時ですが今見てみるとまた新しい発見があったので感想を書きます。

この映画で描かれる家族には母親がいません。カンドゥ一家、グエムルに襲われる兄弟など。
兄弟に何故親がいないのか分からないが、カンドゥ一家は世間一般でいう「ダメ一家」なため、親子2代とも逃げられてしまっている。

ここでグエムル自体に焦点を当てたい。
弱冠19歳、性欲旺盛な私は久しぶりにグエムルを見たときに、
「あれ、こいつの口の形って女性器じゃね?」
と映画じゃないことでこんなことを言おうものならブタ箱にぶち込まれかねないことを思ってしまった。
だが、前述の母親がいない点、この映画で描かれているテーマ(グエムル自体が恐らく女性性や母親のメタファーである)などを鑑みるに、ただの思春期の誇大妄想とは言えないだろう(たぶん監督も意識してやっていると思われる)。

そんな意味を持ったグエムルが突如として出現、実質的に母親としての役割を持っていたヒョンソを攫い、一家はバラバラになってしまう(アーチェリーの選手である娘もいるが一人の女性として自立し、家族を離れているため母親としては描かれてはいないが、一家の中では一番しっかりしている存在である)。

(あと、ヒョンソがビール缶を蹴って中身が飛び出してくるシーンは、グエムルという強い女性性の出現によって様々な社会問題が浮き上がってくるメタファーのようにも思える)

そんな中ヒョンソから電話がかかってきてまだ生きていることが分かり、娘を救出しようとするが警察や軍隊には相手にもされず、病院を抜け出し下水道を探し回ることになる。村上春樹の作品でよく主人公が井戸(人々の間にある普遍的な共通意識)に潜って問題を解決するのと同じなのかと思ったが、恐らく考え過ぎだろう笑

そこで物語の焦点は兄弟に移るのだが、この子達は少し前に公開された是枝監督の万引き家族ならぬ万引き兄弟なんじゃなかろうかと少し思う。両親からなる家族という共同体を失い、兄弟二人で万引きをしながら社会の外を生きているのだ。(違うかな?笑)

話を元に戻そう。
物語の中盤でカンドゥの父親はグエムルに殺されてしまうが、これは恐らく家父長制的なもののをグエムルが拒否したのだろうと考えられないだろうか。

こうやって書いていくと恐ろしいほど長くなりそうなのですっ飛ぶと、色々あってヒョンソは兄弟の弟をかばって死に、カンドゥにグエムルの口の中から引っ張り出されるが、これも象徴的なシーンである。
そして家族一丸となってグエムルを倒し(精神的な母親殺しがここで行われたと考えられる。カンドゥがグエムルに鉄の棒を突き刺して倒すのも象徴的だ。)
血縁関係はないもののヒョンソがかばった弟を受け入れる。

ラストシーン、全てが真っ白になった雪の中で、カンドゥが支度をし、子供と一緒に食事をとっている。素晴らしいシーン、深く考えさせられるとてもいい映画だった。

書いてる時疲れて途中で変なことになっているし、は?と思う部分もあるかもしれないし、色々すっ飛ばしてはいるがお許しください、、、