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ふたりのヌーヴェルヴァーグ ゴダールとトリュフォーのodyssのレビュー・感想・評価

3.0
【貧しいヨーロッパ】

フランスのヌーヴェルヴァーグを扱ったドキュメンタリー。トリュフォーとゴダールが中心になっています。

この映画、ヌーヴェルヴァーグに思い入れがあったり、特に興味を持っている人向きなのかもしれません。私はそういう人間ではないせいか、ふーん、という感じに終始しました。

特にゴダールは私は好きじゃないので、途中のパリ五月革命からゴダールが政治的に左傾の姿勢を強めていくあたりは、さもありなん、と思いました。つまり悪い意味なので、ゴダールなんてそういう状況迎合的な奴に過ぎなかったのだ、たいした映画作家じゃない、というようなことです。

あと、フランスは映画発祥の地かもしれないけれど、戦後はやはり貧しかったんだな、ということですね。アメリカの豊かさ、人材その他の資源の豊富さにかなわない。狭い地域で、才能もほどほどの連中がシコシコ映画作りをやっていて、だけど他に見るべきものもないから騒がれたんだろうな、と。最近『サルトルとボーヴォワール』を見て、中でサルトルが渡米してその物質的豊かさに仰天して帰国するシーンがありましたが、映画について言えばアメリカの豊かさは単に物質的なものだけではなかった。それが痛感されたドキュメンタリーでした。
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