とある一人の女性が経験した出来事についての調査が行われているけど、何処かおかしい。違和感が加速していって情報の処理が追いつかなくなっていく。

事件の「加害者」を擁護しようとする自称調査員。
主人公と入れ違いで表に現れてくる複数の女性たち。
取調べが進んでいくと同時に、様々な人格者達が主人公を奪い合うようになっていき取り乱す彼女の元に警察のジャケットを着た女性が別室から駆けつけてきたシーンで全てが繋がる。


長い間、被害に遭った現実を背負いながら生きていくために主人公である「彼女」一人では抱えきれなかった故に生み出されてきた、年齢層・性格もバラバラな副人格の女性達。
悲痛の叫びとその後に漏らした「つらい…」の一言が重くのしかかってきた。
調査員を装った男性はおそらく彼女にショックを与え続けた張本人。

人の心が長い時間蝕まれていって人格にどう影響を与えるのか、現実を突きつけられる作品だった。解離性同一障害、PTSD（心的外傷後ストレス障害）など浮かぶけど当事者にしか見えない、感じられない感情というものを短時間で表現されていて、役者さん然りシンプルな脚本で観る側の感情を揺さぶってくる作品だった。