原題は“Death Wish”(死の願望)。
チャールズ・ブロンソン主演“デス・ウィッシュ”シリーズの第1作目。
ちなみにブルース・ウィルス版のリメイク『デス・ウィッシュ』と、女性版リメイクとも言えるジョディ・フォスターの『ブレイブワン』も観てますが、本家を観るのは約40年ぶり。
舞台は70年代の犯罪都市ニューヨーク。
一般市民であり建築士のポール・カージー(ブロンソン)は愛する妻子が暴漢の餌食になったことから、夜な夜な街を徘徊し犯罪者たちを処刑する一匹狼のビジランテ(自警団)と化していきます。
犯罪多発地帯でカモを装う主人公は、まるで犯罪者を引き寄せるゴキブリホイホイ。
エサに釣られたチンピラどもを次々に始末していきます。
監督はブロンソンとは既に『メカニック』『チャトズ・ランド』『シンジケート』など何度も組んでいるマイケル・ウィナー。
クロスオーバー風の音楽はクインシー・ジョーンズかラロ・シフリンあたりかなと思ったら、なんとハービー・ハンコック(アルバム『ヘッド・ハンターズ』を発表したばかりの頃)。
本作、昔初めて観たときもブロンソン(当時52歳)がインテリ建築士には見えず、初めて人を撃つ手が震えたり嘔吐する描写にかなり違和感があったのを憶えています。
なんせ上記の作品の他にも『狼の挽歌』やなんかさんざんプロの殺し屋やってますから。
でも実は銃は凄腕とわかったあたりからブロンソンらしくなってきますけどね。
本作、当初は一般市民が過剰な自警により殺人鬼となる恐ろしさを描いた原作のもと、シドニー・ルメット監督、ジャック・レモン主演で映画化される予定だったとか。
ところがマッチョなブロンソンが悪者を次々に狩るヒーロー映画に見えなくもなく、自警団による犯罪者への報復を肯定した映画だと物議を醸しながらも商業的には大ヒット。
ルメットが本作を降りた理由が、同時期のニューヨーク市警の腐敗を描いた『セルピコ』を撮るためだったのもなんだか皮肉めいてます。
こういう作品の主人公は倫理的にはラストで死ぬパターンが多い気がしますが、本作は死ぬどころかシリーズ化までされて5作も続いたのがさすが銃大国アメリカ。
共演は、主人公を追い詰める警部に『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』の花屋の親爺や『月の輝く夜に』なんかが印象的だったヴィンセント・ガーディニア。
主人公に銃の必要性を説き32口径のリボルバーを贈るガン・マニアに『ロックフォードの事件メモ』の“エンジェル”役でエミー賞を2回受賞したスチュワート・マーゴリン。
ギョロ目を見ただけで若き日のジェフ・ゴールドブラム(本作が映画デビュー作)とわかる凶悪なチンピラも登場。