ひれんじゃく

プラトーンのひれんじゃくのレビュー・感想・評価

プラトーン(1986年製作の映画)
3.6
ウィレムデフォーがメチャクチャいい味出しててよかった。
フィクションでわかった気になるな!という感じだけど、「戦っている相手が次第に誰なんだかわからなくなってくる」という戦争の苦しみと狂気が伝わってくる。敵は誰で、味方は誰なのか。味方同士で溝を深めていつ来るかもわからない突然の死に怯えながらジャングルの劣悪な環境を行くのが、シンプルに最悪。しかもこの戦争をおっ始めた上層部は絶対に武器を取って戦場に来ることはないっていう。

戦争映画としてメタ的な見方をすると、やっぱワルキューレの騎行を大音量で垂れ流しながら出撃するヘリのシーンをぶち込んだコッポラは演出的には天才だなあと感じた。この作品が悪いと言いたいわけではなく、表現手法の差が興味深かった。本作はとにかく音楽も最小限にして、戦争体験の再現に努めているように見えたので(監督も実際に兵士として現地で戦ったという情報をみて深く納得)。「地獄の黙示録」「フルメタル・ジャケット」、そして本作など複数作品を並べて、ベトナム戦争という同じ題材を描いた時の違いを見てみるのも面白いのかも。とはいいつつこの悲惨な戦争を全く関係のない第三者ならではの無邪気な姿勢で物語として消費することに抵抗は覚える。

あんなに初々しかった主人公の目がいつしか座っていき、あんなに憎んでいた人物とある種同類になるところに戦争の惨さを見た気がした。やはり戦争はやってはいけない。
ひれんじゃく

ひれんじゃく