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わが青春のマリアンヌの一人旅のレビュー・感想・評価

わが青春のマリアンヌ(1955年製作の映画)
3.0
ジュリアン・デュヴィヴィエ監督作。

寄宿学校に入学したヴィンセントと湖の対岸の屋敷に暮らすマリアンヌの恋を描く青春ドラマ。
モノクロの映像に加え、寄宿学校のある古城や湖にたちこめる霧が幻想的な雰囲気を作り出している。
ヴィンセントは家族と疎遠状態にある孤独で不思議な魅力を持つ青年。何かを探し求めているかのように、そして何かに憑りつかれているかのようにマリアンヌに対する関心を急激に高めていく。映像だけでなくマリアンヌの存在自体もどこか幻想的で、ヴィンセントとマリアンヌの恋も掴みどころがなく確信性に欠ける。ヴィンセントが追い求めていたものがかたちとなって現れたのがマリアンヌなのか。
一つの対象に夢中になれることが青春だとしたら、ヴィンセントの青春はマリアンヌの愛を得るための戦いにある。実を結ぶか結ばないかは関係なく、何かのために盲目的になれることが青春の本質なのかもしれない。ヴィンセントは級友の忠告に耳を貸さず、危険を省みずにマリアンヌの存在を求め続ける。そうした意味では、ヴィンセントの青春は儚くも果たされているのではないだろうか。
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