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出前少女タンポポ
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『出前少女タンポポ』に投稿された感想・評価

tetsu
4.0
神戸ロケで撮影されたインディーズ映画が、地元の映画館で期間限定上映されていると聞き、興味が湧いたので、観賞。

商店街のラーメン屋で、店主の父親と共に働いている少女・タンポポ。
出前先のダンススクールで、ダンスへの憧れを抱いた彼女は、女性講師のサポートを受け、父に内緒で練習を始めるが……。

監督の前作『キッチンオブドラゴン……』同様、神戸インディペンデント映画祭の協力から生まれた短編映画。

ロケは神戸市長田区、主に真陽地区で行なわれたとのことで、神戸ロケ映画の中では、かなり下町の空気感を味わえる貴重な作品になっていた。

今回は伊丹十三監督のラーメン屋コメディ『タンポポ』や、名作ミュージカル『ウエスト・サイド物語』、下町舞台のアニメ「じゃりン子チエ」を着想に、下町ミュージカル映画を目指したとのこと。

近年の和製ミュージカル映画というと『はらはらなのか。』や『ダンスウィズミー』、ドラマで言うと「カエルの王女さま」や「表参道高校合唱部!」が記憶にあるのだが、そのどれよりも予算がない中で、本作はかなり健闘していた。

なんと言っても、それぞれの楽曲クオリティが予想以上に高く、歌唱シーンが本格派だったのが良い。

音楽担当にはバンドマンでもある映画監督・岡本崇さんの名前がクレジットされており、彼の代表作『ボールド アズ、君。』は絶賛するファンの噂も耳にしていたので、今後は追って観ていきたいと思った。

また、楽曲数が多いのも、本作の魅力。

ミュージカル映画の王道と言える心情を吐露する歌唱シーンに始まり、ディズニー映画っぽい街の人々への挨拶入りソング(『美女と野獣』の冒頭を思わずにはいられない)、
ドリカム風(「何度でも」っぽい)デュエットソングに、斉藤和義風(「歩いて帰ろう」っぽい)エンディングソングなど。

曲のレパートリーも幅広く、短編ながらも、ミュージカル映画としての満足度は高かった。

というわけで、物語そのものは手垢のついた内容ではあるものの、様々なジャンル映画の要素を組み合わせたことで、新鮮な印象を与えていた本作。

正直、ダンススクールの仲間たちとの友情や、ラーメン屋を守らんとする父の熱意など、尺の都合で描写が甘い部分もあり、音楽演出により、かなり力技で押しきった部分も感じられたが、そういう事情も含め、是非、続編、あるいはミニシリーズでのリメイク化を実現してほしい傑作インディーズ映画だった。


参考

下町ミュージカル映画『出前少女タンポポ』(2026年1月9日~劇場公開!) | 神戸インディペンデント映画祭
https://kobe-filmfes.com/demae_girl
(映画祭による作品紹介ページはこちら。)

【Next Movie's HINT】
ミュージカル映画
>>キッチンオブドラゴン
ラーメン×ダンス×ミュージカル。
過労でお父はんが先にのびちゃう。
伸び伸び親孝行。

二本立て。
『出前少女タンポポ』には、
つくられた感じがあまりない。
それが、まず好ましい。

そこにあるのは、
特別な演出ではなく、
ふだんの街の呼吸のようなものだ。
人の歩き方、店のたたずまい、
そうしたものが、
そのまま映画になっている。

大きな資本も、
声高な宣伝もない。
ただ、撮りたい人がいて、
支える人がいて、
それを受け取る場がある。

その素朴な循環のなかに、
いつの間にか、
ええもんが生まれている。

映画もまた、
もとは生活のそばにあったはずだ。
この作品を観ていると、
そんな当たり前のことを、
しみじみと思い出す。