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イナズマンFのmitakosamaのレビュー・感想・評価

イナズマンF(1974年製作の映画)
3.2
東映まんがまつりの1本で、イナズマンF12話のブローアップ版ではあるのだが、結構面白い。それまでのブローアップ版がどうしてもTVの一話に過ぎないのに対して、今作は十分に見応えあるんだよ!
確かに予備知識のいる一見さんお断り感はあるんだけどさ、物語がシッカリしてるから、30分でも、映画的な仕上がりになってる。
こういうのを見ると一概にブローアップ版が悪いとも思わないんだよな。

オリジナルのイナズマンが低視聴率で、テコ入れをして路線変更した、イナズマンF。
子供向け路線からハードボイルド路線に変更。(逆は結構あるけど。珍しいパターンだね。)

インターポールの荒井をパートナーにしたバディ物にして、新しい敵のデスパー軍団と戦う。
デスパーシティなる都市があり5万人の市民が抑圧されている。成人するとサイボーグにされちゃうっていうんだ。
この都市に乗り込み市民を解放するために戦うという話。荒井の家族もこの都市にいて助け出そうと奮闘する。

この12話が特に顕著だけど、やはりウルトラセブンの「第4惑星の悪夢」との類似性は、大きなポイントですわな。
脚本の上原正三による、いわばセルフリメイクでもあるし、実際に話の雰囲気がそっくりだよ。上原正三の骨太なストーリー展開が存分に発揮されてるわ。
コレが、一話だけのチョイスでも十分に映画的になる、物語性の強さだよ。

イナズマン、サナギマンのビジュアルも完成度が高いけど、デスパー軍団の幹部クラスのサデスパーとウデスパー兄弟の格好よさよ。
デザインも造形のレベルも当時のテレビシリーズの最高水準ではないかしら。

ハードな物語の短編映画として、一定水準を満たしていると思いますが、いかがでしょうか?
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