イナズマンFの作品情報・感想・評価

イナズマンF1974年製作の映画)

製作国:

上映時間:25分

ジャンル:

3.3

「イナズマンF」に投稿された感想・評価

石ノ森章太郎先生は何人ものヒーローを生み出しましたが、その中で超能力を持ったミュータントをテーマにしたのが「イナズマン」です。
イナズマンは超能力者である渡五郎(「キカイダー」でも主演だった伴大介)が変転するスーパーヒーローで、第一段階はサナギマン、そして怒りが頂点に達すると最強のイナズマンに「羽化」するのです。
サナギマン時は格闘能力ぐらいなのですが、イナズマンになると数々の超能力を使用可能になるという設定。
子供心にサナギマンにイライラしたものです(苦笑)。

本作は、東映まんがまつりで上映された第12話「幻影都市デスパーシティ」のブローアップ版。
これは「イナズマンF(フラッシュ)」という、いわゆるテコ入れ後になる第二期にあたります。
第一期の「イナズマン」は低視聴率に泣き、当初の敵組織であるファントム軍団を壊滅させて、新たな敵となるデスパー軍団と、ゼイバーという新能力に目覚めてパワーアップしたイナズマンとの戦いに以降した第二期が「イナズマンF」として作られました。
デスパー軍団編は、とにかく子供向けとは到底思えないようなハードな内容になり(製作スタッフの趣味だったらしい)、それまでの真っ当な子供向けであったファントム軍団編とはガラリと雰囲気が変わったことで有名です(そうは言っても、ファントム軍団編でもイナズマンが実の母が改造されたバラバンバラと戦ったりと、それなりにハードではあるが・・・)。

サブタイトルにあるデスパーシティとは、悪の超能力者であるガイゼル総統が超能力で作り上げた実験都市で、さらってきた人々をサイボーグに改造したりして、最終的には現人類にとってかわって世界支配を企んでいるデスパー軍団の本拠地となるもの。
ひとつの都市をイメージだけで作り上げて維持しているって、どんだけすごい能力なのでしょうか。
因みに、デスパーシティにも市長がいて、すぐに部下や市民を身体のトゲトゲで刺殺したがるサデスパーが市長の任についています。

個人的に好きな回は第18話「レッドクイン暗殺のバラード」。
レッドクインと呼ばれる女スナイパーが登場、彼女は憎きガイゼル総統を自らの手で葬らんが為に、なんと冒頭で唯一の友人(反デスパー運動員)を射殺!
信用を得て総統に近づこうとするのです。
いきなりこんなの見せられた子供はいったいどうすればいいのか!
その後もとにかく暗く、どんよりとしたまま終わるんですが、「イナズマンF」は結構こんなお話が多くて、時には東映の幹部に怒られたみたいですね(汗)。
そりゃそうだ、いまだったらレーティングで子供は観られないかもしれない内容だもの。
そういった意味では意欲的な挑戦作であり、現在の目で大人が観ても耐えられる稀有な昭和ヒーロー番組と言えるでしょう。

怪奇趣味であったファントム怪人とは異なり、鋼鉄の重量感が頼もしいデスパーロボット達もデザインからして好みですね。
幹部のウデスパー(ウデスパー兄弟&合体ウデスパー)やサデスパーは勿論、ハンマーデスパーやノコギリデスパー、ドリルデスパーなど、いかにもなモチーフのロボット軍団がゴリゴリしていて格好良い!
ロボットが登場するのは「キカイダー」や「ロボット刑事」など沢山ありますけれど、一番ロボット然としている敵怪人が出てくるのは本作じゃないかと(あとは「キョーダイン」か?)思います。

なんでもかんでも、最終的には「ゼーバー!イナズマンフラッシュ!」と叫べば大抵の敵は倒せるというお気楽な部分もありますが、とにかく全編がハードテイストで、「玩具の宣伝」という最大の目的でさえ極力排除した「イナズマンF」の完成度は相当なもの。
ある程度、そのテイストを貫き通した製作スタッフが素晴らしい。

近年は、劇場版仮面ライダーシリーズにも客演したイナズマン。
キカイダーがリブート(失敗作ですが)したのですから、是非、デスパー軍団編を当時の雰囲気のまま、現在の技術でリブートしてみて欲しいと思います。
mitakosama

mitakosamaの感想・評価

3.2
東映まんがまつりの1本で、イナズマンF12話のブローアップ版ではあるのだが、結構面白い。それまでのブローアップ版がどうしてもTVの一話に過ぎないのに対して、今作は十分に見応えあるんだよ!
確かに予備知識のいる一見さんお断り感はあるんだけどさ、物語がシッカリしてるから、30分でも、映画的な仕上がりになってる。
こういうのを見ると一概にブローアップ版が悪いとも思わないんだよな。

オリジナルのイナズマンが低視聴率で、テコ入れをして路線変更した、イナズマンF。
子供向け路線からハードボイルド路線に変更。(逆は結構あるけど。珍しいパターンだね。)

インターポールの荒井をパートナーにしたバディ物にして、新しい敵のデスパー軍団と戦う。
デスパーシティなる都市があり5万人の市民が抑圧されている。成人するとサイボーグにされちゃうっていうんだ。
この都市に乗り込み市民を解放するために戦うという話。荒井の家族もこの都市にいて助け出そうと奮闘する。

この12話が特に顕著だけど、やはりウルトラセブンの「第4惑星の悪夢」との類似性は、大きなポイントですわな。
脚本の上原正三による、いわばセルフリメイクでもあるし、実際に話の雰囲気がそっくりだよ。上原正三の骨太なストーリー展開が存分に発揮されてるわ。
コレが、一話だけのチョイスでも十分に映画的になる、物語性の強さだよ。

イナズマン、サナギマンのビジュアルも完成度が高いけど、デスパー軍団の幹部クラスのサデスパーとウデスパー兄弟の格好よさよ。
デザインも造形のレベルも当時のテレビシリーズの最高水準ではないかしら。

ハードな物語の短編映画として、一定水準を満たしていると思いますが、いかがでしょうか?