メロメロパンナ

クロコダイルの涙のメロメロパンナのレビュー・感想・評価

クロコダイルの涙(1998年製作の映画)
3.7

柔らかい生地の布の先が尖っている様に、ジュードの声には柔らかさと、気にならないくらいの尖った部分がある。痒いところを引っ掻くようにくすぐる声が、私は好きだ。

クロコダイルの涙、一体この名前はどんな意図でつけられたのか。
この涙が嘘であるという意味か。それとも、善と悪を持たない爬虫類脳が求める純粋な欲求とそれに対比するようにある人間脳の抗いなのか。

あの警官が信じることで彼の罪は肯定され、彼の罪は癒された。
そのため彼は、アンを殺すことができず、自分から命を捨てようとするが、体が崩壊しようとしている時、もう一度ワニが目を覚ます。

しかし結局、自衛する彼女に止められ不可抗力になることで、彼は人間として目を覚ますことになる。


ただ生きようとする爬虫類と、愛するものを生かして、己は死ぬという正義・愛のなかに生きる人間。

彼は最後、自分の死が、爬虫類としての死を示すことを知り、人を愛するというなかで初めて、快を感じるのだ。


この映画は恐らく、宗教色の強い、愛や信仰という視点から語られており、直線上のストーリーではない。


まぁ、とりあえず。ジュード・ロウの瞳と声で、私は大満足でした。笑