イシイ

カストラートのイシイのネタバレレビュー・内容・結末

カストラート(1994年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ファリネッリの史実を知らなかったので、最初のシーンで自殺したのかと思った。晩年裕福に暮らして色んな音楽家を招いてとても幸せに暮らしていたそうで何より…映画もハッピーエンドで終わって、エンタメ性も高く大満足。

兄もヘンデルもファリネッリに自分の人生と音楽を狂わされた、と嘆くけど八つ当たりに近い。特に兄は自業自得だろ〜…いつまでもできないオペラで弟を縛り付け自分の罪悪感を慰める。
ヘンデルは最初えらい鼻持ちならない奴だったけど、音楽に誰よりも真摯な姿勢が素晴らしい。一度ファリネッリ達に敗れても、兄のオペラに嬉々としてアドバイスするシーンは良かった。その後兄に冷徹に現状を告げたりとか。また彼がオペラを書かなくなったのをファリネッリとの出会いに絡めてるのが面白い。にしてもこの人いつもファリネッリの本番直前に大事なこと言うのやめなよ…笑
ファリネッリは多少の傲慢さこそあれヘンデルと同様音楽にひたむきで、兄の限界に薄々気づきながらも依存関係を見ないふりをする。それでもヘンデルの方を選ぶのは自分の才能の使い所、ただ一つの道を見つけてしまったから。最後に兄の子供の妊娠を心から喜び兄を許すのは、この兄弟最期まで変わらねえなと思った。
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