しばいぬたろう

グレイヴ・エンカウンターズのしばいぬたろうのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

『グレイヴ・エンカウンターズ』('11)
Grave Encounters / アメリカ合衆国 / 英語

テレビ番組を制作する会社の製作総指揮ジェリー・ハートフィールドの元にテープが届いた。
それは超常現象を追う番組「グレイヴ・エンカウンターズ」のもので、テープにはある精神科病院で撮影された映像が遺されていた。
 それらの映像をつなぎ合わせて、今回公開されることになるわけだが、本作は映画ではなく、一切手を加えていないことをハートフィールドは強調する。

「グレイヴ・エンカウンターズ」のプロデューサーであるランス・プレストンとその調査隊の仲間たちはある霊媒師を隊に加え、五人でコリンウッド精神科病院で一晩を明かすことを企画する。
コリンウッド精神科病院の歴史の取材で、地元の人々から証言を得るが、五人は超常現象を全く信じていなかった。
管理人に病院の鍵開けてもらい、翌日の曹長に迎えに来てもらうことを約束し、五人は建物内の取材を始める。
ヤラセ番組であり、それらしい映像さえ撮れれば良いと思う五人だったが、一晩の間に事態が一変し、病院から出られなくなってしまう。
さらに、病院内では恐ろしいことが起き始めていた。


有名なモキュメンタリーホラー作品。
舞台は元精神病棟だった建物で、「グレイヴ・エンカウンターズ」という番組制作でやって来た5人の撮影クルーに起きた恐怖をPOVで描いたものだ。
精神科病院を舞台としているため、どう考えても幽霊がいそうな場所であるということから、『パラノーマル・アクティビティ』のように身近(家)で起こる恐怖ではないことが救い。
それ以外の展開や描写はかなり怖い作品でした。

精神病患者の幽霊が大勢いるということからか、徐々に精神がおかしくなっていく調査隊員たちの様子も怖い。
更に病棟が迷路のようになり、外に脱出できなくなるという隔離された空間で起きる恐怖体験。
お化けが大量に出てくるわけではないが、いつ何が起こるかわからない恐怖の演出が終始取り巻いていたためとても怖い作品でした。

手持ちカメラによる撮影は、走って逃げるシーンなどではブレブレになる。
しかし、番組制作のため定点カメラが所々にあり、その映像と手持ちカメラ映像の展開の仕方・編集がとてもわかりやすく、良かったと思う。
一点だけ、定点カメラである人物が吹っ飛ばされる映像があったが、その出来は微妙。
もっと静かな恐怖でも良かったと思います。

また、五人が徐々に被害に遭っていくわけだが、その過程もホラーとしてかなり良かった。
ラストの声を録音するシーンは前半のくだりも合わせると鳥肌もの。
また、脳外科の手術という発想も恐ろしく、わかっていたけれど怖かった。

キャスティングは特に感想はなく、あまり特徴ある人物はいなかったことが難点。
ランス・プレストンを演じた人物は次作でも登場するので覚えたいところだが、髭だらけの姿になるので、気にしなくてもいいかもしれない。

エンドロールのピアノ曲がとても素敵で、個人的にはかなり好み。
モキュメンタリーであるため音楽はなく、建物に鳴り響くグヲーンという音が恐怖を煽る。
ちなみに、このエンドロールの曲は探しても見つからなかった。

観終わって怖かったので、特典映像の撮影方法を見て心を落ち着かせることができた。
ホラー映画はこういう「お化けも人間がやっていたよ♪」みたいな特典映像があると、観終わった後の怖さが半減するから特典映像の大切さを味わえます。

アメリカドラマ「SUPER NATURAL」シーズン1の第10話「137号室」を彷彿とする物語展開だった。


【ジャンル】オカルト系ホラー映画
【要素】病院で肝試し、POV、モキュメンタリー作品、グレイヴ・エンカウンターズ
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