デニロ

ロング・グッドバイのデニロのネタバレレビュー・内容・結末

ロング・グッドバイ(1973年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

1973年製作。原作レイモンド・チャンドラー。脚色リー・ブラケット。監督ロバート・アルトマン。

70年代にも観ているのだが1998年シネマカリテ「ハリウッド・クラシックス20」で観た時の印象が強い。その時、何で寝子は尻尾を立てているんだろうと、そんなことを思ったことを覚えている。そして今や三匹の寝子と暮らすことによってその謎が解ける。エリオット・グールドがそんな風にされたように、きゃつらは腹が減ると夜中でも人を起こします。毎晩のようにペロペロとわたしの顔や腕を舐めて起こします。なかなかのものです。仕方なく餌の支度をしてやると尻尾をピンと立てて纏わりつきます。深夜、エリオット・グールドは寝子のためにお気に入りの缶詰を買いに出掛ける。でも、深夜スーパーに行くとお目当ての缶詰は売り切れ。店員は、/どれも同じだよ。/寝子をなめるなよ。/別の缶詰を買い戻りお気に入りの缶詰の空缶に詰め直す。さあ、買って来たぞ食えと、これ見よがしに皿に盛ります。でも、寝子はにおいを嗅いだだけで部屋を出ていきそれっきり。寝子をなめてはいけません。
寝子も進化するのでしょうか。去年の夏に来た子は瓶のふたを開けて餌を取り出します。テント式ペットケージのファスナーも開けます。他の二匹はそんなこと出来ません。最近は、わたしの行動を盗み見ているのでしょうか、ドアノブに手を掛けて開けようとしています。その時は二本足で立っています。ドアを開けるのが早いか二足歩行が早いか、楽しみです。

さて、本作は原作を大胆に変更しています。原作の肝でもあるマーロウとテリー・レノックスの友情の始まりと終わりを端折っています。だから、マーロウがテリーを車でメキシコ国境まで送るについても情感がありません。もちろんギムレットを飲むには少し早すぎるね、なんて誰も言わないし、ギムレットなんて飲みません。ラムソーダを口にするだけです。

ヒロイン役のニーナ・ヴァン・パラント。ほっそりとした長身、淡い金髪ではあるものの、店に入って来るなりすべての物音が消える夢かと見紛う美しい女でもありません、。チャーリーズ・エンジェルのひとりみたい。

ラスト。“To say Good bye is to die a little”なんていう余韻はありません。さよならはひとときの別れだなんてヤワなもんじゃなく、永遠の別れだ、とばかりに銃の引き金を引くマーロウの感情はわたしには到底わかりかねるところです。

寝子が戻ってこないのはそんなところではなかろうか。

角川シネマ有楽町 ロバート・アルトマン傑作選 にて
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