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ロング・グッドバイのmarikabraunのレビュー・感想・評価

ロング・グッドバイ(1973年製作の映画)
4.5
なんだこれ、すごく良い。人間は猫のしもべと言わんばかりのオープニングから既に素晴らしくて好きな映画だと確信した。ぶつくさ言いながら独特なマッチの点け方で呼吸のように煙草を燻らせ、猫に甘く犬に嫌われる私立探偵フィリップ・マーロウ。お向かいに住む裸の女たちをはじめ、フレームの外側を想像させる無駄な遊びがたまらないし、映画自体が気の抜けたコーラのようだな、と思っていたら突然カメラごと叩き割るような鮮烈な暴力に殴られるので目が離せない。猫の餌をすり替えるように何食わぬ顔して欺き欺かれる社会、ハリウッド万歳、とおどけて見せてもどこか哀しくやるせない。猫も消えたまま。
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