夢里村

ロング・グッドバイの夢里村のレビュー・感想・評価

ロング・グッドバイ(1973年製作の映画)
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なるほど、ねこだけは縦移動を常に備えている(縦に移動するいぬは今のところウォルシュのハイ・シエラで山の斜面を上り下りするやつくらいしか見てない)。さらにいぬとは違い、起点だけでなく指向すら霧散する。
いぬで注目すべきは、海と絡まり合うシーンの強度だろう。画面の奥で荒れる波に翻弄される人間との対比も素晴らしい。しかも遺品の杖さえ拾ってくる。
主人公がメキシコを訪れるときには、交尾するいぬにズームアップしていく。ここでいぬが吠えることによってカットが終わる。タイミングがいぬによって定められる。

この映画は、嘘により進行し、そして締められる。そもそもが向かいに住む女たちの身体と意識のように、揺れ動いていた。主人公は質問に対しおどけ続け答えようとせず、たばこの煙は次々消えていき、事故によって揺らされる頭、吹けないはずのハーモニカで物語から去っていく。
ねこが出てったことも帰ってこないこともまじでわかんない。
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